官民ファンドの産業革新機構(INCJ)は今や、電機業界の打出の小づちと化している。これまでにルネサスエレクトロニクスに約1400億円、ジャパンディスプレイ(JDI)に約2000億円を出資。足元でもシャープへの出資案(→関連記事へ )や、東芝の救済プランが浮上している。だがINCJは本当に電機産業を救えるのだろうか。
再生機構はなぜ成功した
官民ファンドが設立されたのは、INCJが初めてではない。原型となるのは、2003年4月に発足した産業再生機構だ。銀行の不良債権処理を主たる目的として、深刻な経営不振に陥っている企業の再生を支援した。活動を終了するまでの4年間で、カネボウやダイエーなど約40社を支援。企業に対する債権を非メインの金融機関から時価で買い取り、メインバンクとともに再生に当たった。取得した企業の株式はすべてスポンサー企業や投資ファンドに売却し、約500億円の売却益を国に納めて07年6月に清算された。活動期間はわずか4年だったが国主導の企業再生の成功例とされており、INCJの成否を判断するうえでも最大の比較対象となっている。
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