「スプリントが本当にいいかというと、そりゃあ、ベライゾンを買えたほうがよかった。再建は茨(いばら)の道。簡単にはいかないよ」。米国携帯大手スプリントの買収発表時(2012年10月)に聞いた、ソフトバンクグループ幹部の本音だ。
この言葉以上に、再建は困難を極めた。思うように舵取りできず、スプリントは顧客争奪戦に敗れ続けた。今年2月には約2500億円の減損を計上。4~6月期には契約数でTモバイルUSに抜かれ、シェア4位に転落した(図表1上)。
撤退の憶測も国内外で幾度となく流れ、孫正義社長も「一時は売却を考えたときもあった」と明かしている。
スプリントの立て直しは、ソフトバンクにとって本格的な世界戦略の第一歩。無数の修羅場をくぐり抜けてきた孫社長は、今回もピンチを克服することができるのか。
孫社長が命運託す、スピード経営のCEO
現在、スプリント再建の重責を担うのは、就任2年目を迎えたマルセロ・クラウレCEO。ボリビア生まれの44歳だ。身長は2メートルを超え、孫社長が「山賊のような顔で、まるでストリートファイター」と表現する同氏は、ソフトバンクが14年1月に買収した世界最大の端末卸会社・ブライトスターの創業者。豪快なイメージの外見と違わず、大胆なスピード経営が持ち味だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら