アベノミクス大勝後の日経平均はどうなるか 自民大勝でも、日経平均反落の懸念

拡大
縮小

しかしその一方、米国のシェールオイル・シェールガスの生産業者にとってはマイナス要因だとの見解が、欧米のエネルギー関連企業の株価を押し下げている。

加えて、経営が立ちいかなくなったエネルギー関連企業向けの貸付金が不良債権化する、との懸念が浮上し始めた。

欧州においては、産油国であるロシアの経済が悪化し、欧州からロシア向けの輸出(EUからの域外輸出の約15%がロシア向けだ)が減少して、欧州経済が打撃を受けかねないとの懸念が、欧州株価の重石となっている。今はこうしたエネルギー価格下落の負の側面に注目が集まり、先週末の12日のニューヨークダウ工業株指数は、前日比315ドル強の大幅下落となった。

2) の円安については、日銀の政策の失敗だとの声がにじみ出している。本来インフレを起こすのであれば、経済が良くなってモノやサービスへの需要が増え、需給がひっ迫して価格が上がるという形が好ましいはずだ(この形のインフレを「デマンド・プル・インフレーション」と呼ぶ)。

日銀は「悪い形でのインフレ」を後押ししている

しかし現在は、吉野家と同様、輸入原材料の円換算後の価格が上昇し、コスト高に苦しんでいる企業が増えている。一部では、牛丼並みに国内での売価を引き上げざるを得ない状況だ(こうした形のインフレを「コスト・プッシュ・インフレーション」と言う)。コスト・プッシュでは、十分に企業が価格転嫁できない場合、企業収益が圧迫を受ける。

ところが一部の学者の間で、デマンド・プルであろうとコスト・プッシュであろうと、とにかくインフレになりさえすればよい、という議論が聞こえる。インフレになれば、今買った方が将来買うより安い、と企業や家計が考え、早く投資や消費を行なおうと行動し、その結果として景気が良くなる、という考え方だ。

牛丼の場合を考えて見よう。たとえば値上げ前の12月16日に、「明日の午後3時以降に価格が上がるから、今日のうちに食べておこう」くらいの前倒しはあるだろうが、値上がるので向こう1か月分を全て食いだめしようとはならないだろう(1か月分買って、冷凍して保存するという猛者がいなければ)。

次ページWhere is the beef?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT