アベノミクス大勝後の日経平均はどうなるか 自民大勝でも、日経平均反落の懸念

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では、耐久消費財が値上がりしたらどうなるか、ということだが、消費者は賃金上昇が緩やかなため、また長年の景気低迷が身に染みているため、値段が上がる前に大いに買っておこう、と思うより、「値段が上がっていくのなら、もう永遠に買えない」と、消費自体をあきらめてしまうのではないだろうか。

どうも日銀の政策は、「インフレ率が上がれば何でもいい」、「円安で輸入品の価格が上がって皆が苦しむ形でもいい」ということではないか、という疑念がむらむらと湧き起り、牛丼の賞味期限ならぬ、日銀の「量的緩和効果の賞味期限」が切れつつあるように感じられる。英語では ”Where is the beef?” という表現がある。牛肉、すなわち肝心なものはどこに行ったのか、肝がないではないか、という意味だが、日銀の政策は「肝心の牛肉」を失ってしまったのかもしれない。

与党大勝後、国内の株価はどう動くか?

このように、牛丼をじっと見るとみえてくる2つの懸念要因、エネルギー価格下落が引き起こす負の側面に対する不安が欧米株を押し下げる効果と、日銀の10月末の追加緩和効果の賞味期限切れが、今週も国内株価に襲い掛かる恐れが残る。

加えて不安なのは、総選挙の結果を受けての国内株価の反応だ。まず、選挙の結果がどうであったかにかかわらず、投票日の前後で株価がどう動いたか、過去の展開を検証してみよう。

過去は日曜日以外に投票日が設定されることも多かったが、第33回衆議院選挙(1972年12月10日投票)以降は全て日曜日だ。そこでこの第33回から前回(第46回、2012年12月16日投票)までの14回について、

1)投票日1か月前から投票日直前の金曜日までの日経平均株価の騰落

2)投票日翌日の月曜日から投票日1か月後(その日が土日などの休場日であれば直前営業日)までの日経平均の騰落を調べてみた。

すると1)については、上昇が13回、下落が1回で、選挙前は株価が上昇することが圧倒的に多かった。ところが2)については、上昇が6回、下落が8回で、僅差とは言え株価下落の展開が勝っていた。ちなみに、さらに短期的な騰落、すなわち投票日直前の金曜日に対し、投票日直後の月曜日の日経平均が、終値ベースで上昇していたかどうかをみると、上昇5回に対し下落9回と、さらに分が悪い。

特に今回は、主要な世論調査の結果、自民党単独で300議席は固いかのような報道が多く、市場の期待のハードルがかなり上がっていた。実際の自民党の獲得議席は、予想を下回り、300議席にわずかながら届かなかった。このため、月曜日の株式市場は、失望で応じるものと懸念される。

すでに先週の株価下落で、ある程度の過熱感のガス抜きではできていると考えられるため、大きな株価下振れは考えにくい。だが、述べてきたような要因から、目先の日経平均はいったん1万7000円を割れて下値を固める展開になると見込む。今週のレンジは下値1万6800円~上値1万7400円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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