徹底的な敗戦から70年。これまで日本は幸いにも戦争をせずに来た。だが、今や隣国との緊張関係に加え、テロの脅威が日本人の安全を揺るがす。テロと戦争の境目があいまいになる世界で、気づけば日本もその当事者になっていた。今、そこにある危機を真剣に考える。
今を去ること5年前。悪名高い独裁政権を相次いで崩壊させた「アラブの春」は、中東・北アフリカに民主化と安定をもたらすかと期待された。だが、結果的には、パンドラの箱が開いてしまった。
米国の諜報活動の元締であるジェームズ・クラッパー国家情報長官は2月26日、2014年の1~9月に世界で3万1000人がテロの犠牲になったと述べた。13年通年の2万2000人を大きく上回り、データがある過去45年で最悪の数字になる。その多くを仕掛けたのは、イラク、シリアの一部を支配するイスラム過激派組織「イスラム国」だ。
独裁政権が無力化した地域でイスラム過激派が勢力を拡大。国境を越えて異教徒と戦うことを呼びかけるグローバル・ジハード(聖戦)が広がり、欧州などでもローンウルフ(一匹狼型)テロが頻発している。
日本人にとってもひとごとではない。シリアで拘束した湯川遥菜、後藤健二の両氏を殺害したイスラム国は、すべての日本人を攻撃対象にすると宣言している。海外で活動する日本企業が標的になりうることは言うまでもない。日本企業が進出を加速する東南アジアでも、イスラム国の影響下にある組織は活動中だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら