有料会員限定

テロとの戦い方 プロが直言

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

伊藤哲朗 元内閣危機管理監/荒谷 卓 元陸上自衛隊特殊作戦群群長

3・11対応の司令塔

原発の守り固めよ 地震や津波よりテロが脅威

伊藤哲朗 元内閣危機管理監

いとう・てつろう●1972年東京大学法学部卒、同年警察庁入庁。2006年警視総監、08年内閣危機管理監に。11年には東日本大震災に対応。14年から東大客員教授。(撮影:今 祥雄)

特集「テロと戦争」の他の記事を読む

危機管理という言葉には2種類の意味がある。まず一つはリスクマネジメント、すなわち事前の対策だ。何か事が起きてからでは間に合わない。テロについても、事前に対象、場所、時間、手段などについて、どのようなことがありうるのか考えておかねばならない。

わが国でテロへの備えを考えるとき、原子力発電所の守りは最優先の課題の一つだ。千年あるいは何万年に一度の地震や津波による被害よりも、テロにより原発が暴走する危険のほうが高いといえる。福島第一原子力発電所の事故は、原発が電源と冷却水を失うと直ちに暴走するという脆弱性を、テロリストやテロ国家も含め全世界に知らしめた。原発が停止中の場合でも燃料棒を冷却する必要があるため、電源と冷却水を失うことの危険性はほぼ同じだ。

東日本大震災後に停止した原発を再稼働するには地震津波対策を施すことが条件となっているが、テロ対策は含まれていない。これを条件にすると再稼働まで時間がかかりすぎるという判断からだろう。「航空機が落ちても大丈夫なように」という発想はあったが、テロリストにより、強力な爆発物で電源や冷却システムが破壊される危険性についてはもう一度見直す必要がある。

関連記事
トピックボードAD