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日本の強みを生かした 東シナ海安定の総合戦略 財源不足を地理的特性でカバーする

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12式地対艦ミサイル。南西諸島に複数配置すれば全域をカバー可能(陸上自衛隊)

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米国のオバマ大統領は年次教書で予算の強制削減を停止すると述べ、2016年度国防予算案は前年度より25億ドルの伸び(4%増)となった。14年のQDR(4年ごとの国防政策見直し)は、米国の緊縮財政を背景に陸軍を52万人から44万~45万人に減らすなど、全体的に戦力を縮減する内容だったが、これ以上に軍事費を削減すれば14年のQDRで示された水準をも割り込む。それでは緊迫化する国際情勢の下、将来の米国の軍事的優越を維持できないという判断である。

米国はすでに10年のQDRで、中国軍が急速かつ広範な軍事力増強の下、対艦弾道ミサイルなどにより他国軍を中国の近海に近づけない「接近阻止/領域拒否(A2/AD)」戦略によって米国の戦力投射能力に挑戦しつつあると認識し、地域へのアクセスを確保するためエアシーバトル構想(海・空軍の長距離ミサイルや爆撃機などを主体とした遠距離打撃構想)を打ち出した。

その後、アジアへのリバランスを提唱し、20年までに海・空軍の60%をアジア太平洋地域に集中し、日本にも新型のイージス駆逐艦が増加配備される予定である。しかし、ロシアや「イスラム国」への対処も必要で、米国内ではアジアへのリバランスを見直し、ヨーロッパ正面を重視することの必要性も議論されるなど、アジアへのリバランスの実効性が問われている。

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