初公開!これが通勤電車「乗車率ランキング」 なかなか座れない高崎線、すぐ座れるのは?

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一方、割合の低い路線では名古屋市交通局の名城線・名港線が目に付く。11.4%という割合は今回取り上げた三大都市圏の路線中、最も低い。

名城線・名港線のうち、名城線の部分は環状路線となっており、東武鉄道野田線でも説明したように、利用者の大多数は他の路線との接続駅で乗り換えてしまうのであろう。ちなみに、名城線28駅のなかで乗換駅は大曽根、平安通、久屋大通、栄、上前津、金山、本山、八事、新瑞橋の9駅と確かに多い。

京阪神交通圏は、南海の2路線に特徴

注目は65.6%の高野線、44.2%の南海本線と割合の高いどちらも南海電気鉄道の路線である。両路線とも割合が高いだけでなく、平均乗車キロも両者20km台と長いという特徴をもつ。特に南海本線の24.9kmは今回取り上げた三大交通圏の路線中、最長を記録した。

高野線、南海本線とも列車の大多数は南海電気鉄道最大のターミナルである難波駅を発着する。

難波駅を基準に平均乗車キロを当てはめていくと、高野線の22.9kmは金剛駅と滝谷駅との間、南海本線の24.9kmは春木駅と和泉大宮駅との間だ。

割合が高い理由として考えられるのは、高野線、南海本線とも全線を乗り通す利用者が多いという点がまず挙げられる。それから、他の路線と接続する駅が少ないので、乗り換えていく利用者があまり存在しないのであろう。

今回は3大都市圏の路線の長さと平均乗車キロをもとに、割合を求めてみた。加えて各路線の営業収支がわかれば、割合との関連を探ることができ、さらに奥行きの深いデータとなるであろう。

果たして割合の高い路線の営業収支が良好であるのか、それとも割合が低い路線であっても比較的高額な初乗り運賃を徴収できる結果、営業収支の面では好成績を収めるのか。今後調査のうえ、いずれ発表したい。

梅原 淳 鉄道ジャーナリスト

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うめはら じゅん / Jun Umehara

1965年生まれ。三井銀行(現・三井住友銀行)、月刊『鉄道ファン』編集部などを経て、2000年に独立。著書多数。

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