不安定化する市場、アメリカ金融緩和の功罪

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8月27日のジャクソンホールでのバーナンキ議長による講演以降、QE2のアナウンスメント効果が現れた。さらに、9月21日の声明で具体的な金額が取りざたされ、弾みがついた。株価は8月31日から上昇。9月21日以降は上値を追う展開となった。FOMC(連邦公開市場委員会)直後の11月5日を境にピークアウトしたが、この間、ニューヨークダウ平均株価は1万0009ドルから1万1444ドルまで上昇した。

FOMC直後、ワシントンポスト紙への寄稿で「株価を押し上げ、家計の消費を促す」としたバーナンキ議長。目的は見事に果たされたと言えるかもしれない。クリスマス商戦も出だしは好調だ。ただ、堅調な経済指標の発表が相次いでいることから、QE2がなくても米国景気は底堅かったとの見方もある。

為替はどうか。対ユーロでは8月末の1ユーロ=1・26~1・28ドル台から1・421ドルに下落した。ただし、対円では日本政府の介入があった9月15日の1ドル=86円から10月29日の1ドル=80・37円まで下落した後、ドル高に転じている。ユーロ危機に加え新興国が金融引き締めを行ったため、ドルは相対的に強くなった。もとよりバーナンキ議長は「FRBの政策はドル安を狙ったものではなく、新興国のドル買い介入こそが問題」と反論しており、結果的に為替は小康状態となっている。

不安定な長期金利 深まる新興国との溝

波乱の展開となったのは、債券相場だ。米国の長期金利は10月7日の2・38%を底に上昇(債券価格は下落)。いったん下がったが、FOMC翌日から再び上昇し、現在は3%手前で攻防を演じている。予想以上にインフレ期待が高まっている。

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