過小評価は禁物、「長野県北部地震」の衝撃度 名古屋大学の鈴木康弘教授に聞く
過去の南海トラフ地震でも、たとえば安政東海地震(1854年)の半年前には、三重県の木津川断層帯が動いて伊賀上野地震を引き起こすなど、海溝型の本震が来る前に内陸の地震や噴火が頻発していた。防災上の結論は、やるべき備えを、いつでもしっかりやっておくことだ。
――原発の安全性評価への影響は?
私が原子力規制庁の調査にかかわった福井県の敦賀原発も、敷地内に浦底断層という大規模な活断層を抱える。
70キロ以上の長さを持つ大規模な断層だが、全体が活動する大地震がまれに起きるという想定でいいかどうか、見直しが迫られることになる。断層の動きには不確実性があることを、今回の地震はあらためて見せつけた。原発の安全性評価においても、こうした不確実性を掛け合わせて考え直さなければならない。
今回、断層がずれた場所は、事前に作られて公表されていた活断層地図に示されていた。しかし、住民は「こんなところに活断層があったんだ」とため息を漏らしている。自治体は、住民にとって重要な情報をしっかり伝える努力が求められる。一方、細かく見ると、その活断層図も完璧だったとは言えない。今回の地震は多くの問題を投げ掛けている。とにかく、地震をわかった気になってはいけないということだろう。
被災地はもう雪が降り始めた。被災者の苦労を見ると、阪神以降のこの20年間、何をやってきたのかという無力感もあるが、今後も他大学の研究者と連携して調査を進める。国も地震本部が中心となって積極的に情報を集約して、次の備えに生かしていくことを期待したい。
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