スマートニュース、「広告猛ダッシュ」の成算 王者ヤフーはどう迎え撃つのか

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ヤフーの宮坂学社長は「ニュースは時代のド真ん中のコンテンツ」と断言した(撮影:尾形文繁)

PCでの閲覧が主だった時代から、圧倒的なページビュー(PV)数を稼いでいた、「Yahoo!ニュース」。スマホ時代を迎え、今では憂き目を見ているのかといえば、そうではない。今年6月には、PCやスマホのブラウザ、またスマホアプリなどからの閲覧の合計で、月間100億PVを初めて突破。集計が終わった中で最新データとなる10月、月間のPV数は過去最高の109億PV(前年同月比11.2%増)を記録した。

調査会社ニールセンが11月26日に発表した資料によると、ニュースアプリ「Yahoo!ニュース」の月間アクティブユーザー数は、10月時点で約187万人。この調査では対象になっていないが、ヤフーはより利用者が多く、ニュース閲覧機能もある総合的なポータルアプリ「Yahoo!JAPAN」も持っている。こちらもニュース閲覧のために使っている人が多いとみられるため、「Yahoo!ニュース」「Yahoo!JAPAN」アプリの利用者を合算すると、この調査で首位のスマートニュースの約400万人弱を上回る計算になる。

もちろんスマホのブラウザから見ているユーザー数を含めれば、さらにYahoo!ニュースの利用者数は多くなる。ヤフーは、これらを合計し、重複したユーザーを除いた「Yahoo!ニュース」の純月間利用者数は2300万人になると反論している。

スマホ広告のビジネスモデルとは

スマホ時代にも、圧倒的な集客力を持つ媒体として、そびえ立とうとするヤフーだが、2014年4~9月中間期決算(国際会計基準)は、創業以来、初の営業減益に沈んだ。

背景には、柱の広告事業で、利用者の間で急激に進んだスマホシフトのスピードに、十分に追いつけていないことがある。スマホ向け広告の成長を急ぐヤフーは、今月から、スマホを傾けると画面上で動く広告や、画面スクロールを進めると画像が表れる広告など、訴求力を強めた枠広告を配信していく。大手企業を中心に高単価の広告出稿を集めて、収益の上積みを狙う構えだ。

ニュースアプリで競合する「グノシー」も先月、事業戦略の説明会を開催。11企業と提携し、従来のニュース配信に加え、旅行予約や資産管理などのサービスも利用できるようにすると発表した。

混沌とするニュースアプリ業界だが、多数のサービスが併存し続けるのは厳しいと言わざるを得ない。何しろ、利用者の根幹にあるのは、「ニュースを知りたい」というシンプルな目的であり、複数のアプリを併用する層は増えにくい。そのうえ、FacebookやTwitterなどにもニュースをシェアするプラットフォームとしての性格があり、Googleも強力なニュースメディアだ。つまり、"わざわざニュース専用アプリを使う"というユーザーが順調に増えていくとは限らない。その意味からも、生き残りを賭けた戦いは激しいものになるだろう。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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