知らないと本気でヤバい!「卵」の裏側 すべての偽装は「卵」に通じる
卵の温度管理について日本人は無頓着すぎる
河岸:卵の生食については、鮮度の問題に加えて、もうひとつ「サルモネラ菌」の問題もあるからね。すべての卵はサルモネラ菌に冒されている危険性があるの。
N君:高級卵やこだわりの卵でも、同じようにサルモネラ菌のリスクがあるんですか?
河岸:そのとおり。消費者が普通に買える卵で「この卵は100%絶対安全」と言い切れるものはない。
N君:じゃあ、卵は食べると危険ということですか?
河岸:そんなことはないよ。仮にサルモネラ菌がいても、75度で1分間加熱すると死滅するから、しっかり加熱した卵なら大丈夫。
N君:生卵や半熟の卵はどうですか?
河岸:加熱しなくても、産まれてすぐ10度以下で保管すれば、仮にサルモネラ菌がいても60日間は食中毒レベルまでは増殖しない。でも、36度で保管すると、1日で食中毒が起きるレベルまで増殖する。
N君:なるほど、「きちんと温度管理されている卵を買う」のが重要ということですね。
河岸:冷蔵販売されていても、店に運ばれるまでに常温だったら意味がないから、「冷蔵『輸送』、冷蔵『保管』、冷蔵『販売』」の3つが必要不可欠ということ。いずれにせよ、卵を常温で販売している店なんて論外だよ。
N君:スーパーでも、常温で卵を売っている店と、冷蔵販売している店の両方がありますよね。前作『スーパーの裏側』がベストセラーになり、『週刊ポスト』や『SPA!』でも大きな記事になったおかけで、冷蔵販売のスーパーがだいぶ増えた気もしますが。
河岸:確かに増えたけど、まだ一部だよね。「卵の常温販売は非常に危険」ということをぜひ消費者だけでなく、販売者も知ってほしい。卵の温度管理について、あまりにも日本人は無頓着すぎるよ。
幼い子どもや高齢者は、サルモネラ食中毒で命を落とすことも
N君:外食でいえば、調理場や厨房で、卵を常温で置きっぱなしにしている店はすごく多いですね。
河岸:お好み焼屋とか、すぐ隣で火を使っている店でも、その隣に置きっぱなしにしている店があるよね。信じられない。そんな店、食のプロから見れば、論外中の論外だよ。
N君:僕も一度、お好み焼を食べたあと、すごい腹痛に襲われましたが、でもサルモネラ食中毒という証拠はないわけですよね……。
河岸:そこが卵特有の難しさだよね。同じ卵かけご飯をみんなが食べたとしても、サルモネラ菌の卵に当たったのは、自分だけかもしれない。常温で置きっぱなしにしていたとしても、みんなが繁殖するわけじゃないし。
N君:そこが集団食中毒とは違うところですね。逆に言えば、だからこそ原因追及が難しく、運悪く当たってしまった人は泣き寝入りするしかない、と。
河岸:泣き寝入り程度で済めばいいけど、幼い子どもやお年寄りは、サルモネラに当たって命を落とすこともあるわけだからね。
N君:8歳の男の子や9歳の女の子が、卵かけご飯を食べて、サルモネラ中毒と見られる症状で亡くなったというニュースもありましたよね……。今年も、サルモネラ中毒で亡くなった70代女性の裁判で、「生産業者に責任あり」と約4500万円の支払いを命じた判決もありましたよね。
河岸:きちんと温度管理がされていない卵を、しっかり加熱せずに食べることには、それくらいリスクがある。そのことはぜひ知ってほしい。もちろん、むやみに恐れる必要はなくて、さっきも言ったように「冷蔵『輸送』、冷蔵『保管』、冷蔵『販売』」している卵なら、まず安心できるけどね。
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