厄介な「外国人ツーリスト投資家」に注意せよ 日本には2種類の「外国人旅行者」が来ている

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一方、こうした短期投資家の多くは、残念ながら不勉強でもある。それまで日本のことを全く知らなくても、おもしろそうだと思えば、いきなり投資を始めるからだ。

短期筋のなかには、「消費増税の先送りが話題になっているが、そもそもなんで10%に引き上げることになっていたんだっけ?」と平気で質問するレベルの者もいるのだ。すでに日本株に投資しているにもかかわらず、である。訪日観光客の方が、日本についてよく下調べしていると思う。

「ツーリスト投資家」の売り逃げによる波乱に注意

今回も日銀の追加緩和を契機に、株価が上振れしているが、果たして昨年と同様なのだろうか。ツーリスト投資家は手っ取り早く日経平均先物を買う。こうした短期買いが主役の相場では、裁定取引が発動して、日経平均採用銘柄の株価ばかりが押し上げられ、NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)が上昇する。

最近でNT倍率がピークをつけたのは、昨年5月の株価ピーク近辺(2013年5月27日)、昨年末の株価ピーク時辺り(12月25日)と、最近(今年11月13日)だ。やはり足元も、短期筋の買いによるところが大きいと懸念される。

投資家別の売買動向を見ても、国内勢が売り越し気味の中、外国人投資家の一手買いだ。短期筋から、「買っているのは、われわれだけなのか?これでは株価は持たない。いつ売り逃げようか」との、不安の声が寄せられる。日経平均株価の頭が重く、1万7500円をなかなか突破できないでいるのは、一手買いに不安を覚えたツーリスト投資家が、そろそろ逃げ始めているからだろう。

中長期のスパンで考えれば、国内企業の収益は増益基調であり、外国人投資家でも年金などの長期筋は下値での買いを狙っているため、ツーリスト投資家が売りに回っても、それほど大きく株価は崩れず、株価上昇が見込めよう。

それでも短期的には、日経平均株価はいったん1万7000円を割り込み、場合によっては10月31日と11月4日の間のローソク足の「窓」を埋めに行くリスクが高いと考えている。今週の日経平均株価は、1万6500円~1万7600円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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