厄介な「外国人ツーリスト投資家」に注意せよ

日本には2種類の「外国人旅行者」が来ている

しかし本当に期待すべき効果は、他にもある。訪日観光客はもともと日本に好意を持って訪れてくれるわけだが、「おもてなし」の心に触れて、さらに日本が好きになる人が多いだろう。

これは「ソフトパワー」として外交上プラスだが、自国に帰っても、日本製品を買い、日本から進出した小売・外食企業に立ち寄る人が増える、という効果も見込まれる。米国に進出した伊藤園のペットボトル入りお茶は、お茶には砂糖が入っているものだ、との米国市場の「常識」に風穴を開けたが、これは日本を訪れた人が無糖のお茶を経験した、という点も追い風になったのではないか。

日本製品で今注目されているのは、花王の「めぐりズム」や小林製薬の「熱さまシート」など、海外にはないタイプの日用品だ。また目薬、携帯用ステンレスミニボトル、家電では炊飯器、美容家電なども人気で、海外の口コミサイトでも薦められている。

ここで挙げた諸製品は、いずれも人体に対して使う、あるいは飲食に関するものだ。日本製品が高品質なことが、健康面で使用上の安心感をもたらしているのだろう。

また日本の諸都市は、大気や水の質が良く、ゴミが少なく、治安が良く、電車が時間通り来るなど、優れた都市環境を有している。北九州市など地方自治体では、過去の公害問題などの解決策を、「都市ソリューション」として売り込もうと努めている。日本の都市を実際に訪れた人が海外で増えれば、日本からのインフラや都市ソリューション輸出に力を貸してくれるはずだ。

短期の「ツーリスト投資家」には、「情」などない

さて、日本経済にとっては、日本に対して好感を持つ旅行者の増加が明らかにプラス要因となっているが、日本の株式市場でも「旅行者」が、ときどき影響を及ぼすことをご存じだろうか。

要は、こういうことだ。2013年は、4月4日の異次元の緩和を契機に、外国人の短期投資家が5月下旬にかけて日本株を一気に買い上げ、6月半ばに向けては一気に売りを出した。短期筋に国内株式市況が攪乱されたわけだが、先週の筆者の米国出張中に、ある金融関係の取材先が、「そうした連中を「ツーリスト」(旅行者)と呼ぶのだ」と教えてくれた。

こうした「ツーリスト投資家」は、訪日旅行者と違って、日本に対しては何の情もない。ある短期筋は、「別にアベノミクスで日本経済がどうなろうと、われわれは日本に住んでいるわけでもないから、関係ない。ただ、アベノミクスで投資家が騒ぎ、株価が上がりそうであれば買うし、株価の動きが止まれば売る、それだけのことだ」と語っていた。

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