ベンツ「Sクラス」に乗ってみた! 1590万円のPHVモデルは何がすごいのか
その新しいメカニズムや圧倒的なパワーは確かに圧巻だが、何より筆者がすごいと感じたのはその走行感覚である。試乗は広い一般道をまっすぐ走るコースが中心だったが、とにかくスムーズなのである。千葉・幕張近辺の一般道は割ときれいに整備されているものの、やっぱりなんだかんだ公道には轍や凹凸がある。それをほとんど感じさせずに、スーッと走ってみせたのだ。
試乗したモデルには搭載されていなかったようだが、Sクラスには新機能として搭載されている「マジックボディコントロール」と呼ぶサスペンション(足回り)システムがある。これは、前方の路面の凸凹をフロントガラスに設置したカメラでとらえ、路面の状況を予測したうえで、足回りが最適な動きをするように制御する仕組みだ。
これまでの車にない快適さ
13年8月の発表会で、メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は、旧型のSクラスと乗り比べた感想を「間違いなくこれまでの車にない感覚の快適さを実現している」と話していた。この設定がなくても、スーッと走るSクラスがさらに快適になるとはすさまじい。
また、高級車といえば音が静かなのが売り。騒音をいかに抑えるかは車の快適性を高めるうえで重要な要素なのだが、試乗したS550プラグインハイブリッド ロングはすさまじかった。とにかく運転している車からの音がほとんどしない。エンジンの音が若干だけ聞こえたのは、アクセルを思い切り踏み込んだほんの一瞬ぐらい。それもかなりのハイパワーな加速なので、踏み込めている時間はほんの数秒ぐらいだった。
基本的な部分の改良も効いているのだろう。車体には、鉄よりも軽くてねじれに強いアルミニウムを約5割採用。従来モデルに比べてなんと100キログラムの軽量化を果たしたという。日本車と乗り比べたときのドイツ車の特徴でもあるが、とにかくボディががっしりしている。専門的に言うと「剛性が高い」。
そんなワケなので、一定の巡航速度で走っていると、スピードを感じない安定性がある。排気量1800ccクラスの国産乗用車をマイカーとしている筆者からすると、自分の車で走っているスピードとS550プラグインハイブリッド ロングは時速30キロメートルぐらいのスピード感のずれがあった。