日韓のFTA戦略はなぜこうも違うのか--リチャード・カッツ


 ただ、日本が農産物ほか規制問題に本気で取り組む気がなければ、アメリカなどの国は日本のTPP交渉への参加を認めないかもしれない。事実、菅首相は強力な反対に直面している。鹿野農林水産相だけでなく、TPP締結推進の指導的役割を果たす経済産業省のトップである大畠経産相も10月28日の記者会見で「TPPは最重要課題ではない」と語った。さらに主に小沢支持派を中心に100名を超える国会議員が反TPPグループを結成している。

農家に同情はしても自由化阻止は認めない

韓国は農業団体の反対を克服することができたのに、なぜ日本はできないのだろうか。日韓の農業の類似性を考えれば、不思議である。

日本と同様、韓国の農民の大半は60歳を超えている。農地は平均1・5ヘクタールと小規模で非効率的だが、厳格な農地法のため農家以外への農地転売が制限されている。しかも、韓国の農家は日本の農家よりも貿易自由化により大きな脅威にさらされる。日本の農家の80%は兼業農家で、農業収入は収入全体の15%程度にすぎない。一方、韓国の大半の農家は専業農家で、収入の大半を農業から得ているのだ。

それにもかかわらず、韓国はアメリカやEUなどの農産物輸出国と協定を結べただけでなく、コメを除き実質的にすべての農産物の自由化を行っている。日本が締結しているEPAでは、コメを別にすれば、農産物の50~60%が自由化されているだけだ。それに対し、アメリカやEUとのFTAで、韓国の農産物は99%が自由化される。米韓自由貿易協定が発効すれば、アメリカの農産物輸出の3分の2の関税が即座に撤廃される。

こうした日韓の対応の差はなぜ生じているのか。

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