(産業天気図・医薬品)医療費抑制で今年の薬価改定は小幅止まり。が、開発費高騰もあり、二極化傾向は続く

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日本は少子高齢化に伴い、医療保険制度の破綻危機に直面している。そのため政府は2年に1度、薬価の引き下げを実施して医療費抑制を図っている。
 今年はその薬価改定の年に当たり、4月から実施される薬価改定率が明らかになった。業界平均薬価改定率 は4.2%。業界平均を上回っている主要各社は三共の7,5%、山之内製薬の5.7%、第一製薬の5.4%などが挙げられる。逆に改定率が小幅に抑えられたのは小野薬品工業の3.4%、田辺製薬の3.5%など。前回(2002年4月)の業界平均薬価改定率6.3%に比べて、改定幅が縮小したことは、製薬業界にとっては安堵の結果だったともいえる。
 ただし、国内市場が飽和状態にあるのは確か。医薬品卸最大手のクラヤ三星堂は、2004年度の国内の医薬品市場を2.5%拡大と推測する。内訳は自然増(人口増、高齢化等)でプラス1.8%、新薬効果等でプラス3.5%、薬価改定でマイナス2.2%、医療費抑制政策でマイナス0.6%となっている。
 この中で注目すべき項目は新薬効果だ。研究開発費は高騰化し、資金力に乏しい中堅以下は新薬が出しにくい状況になっている。そのため大手と中堅以下の格差はますます広がっている。海外市場の開拓も今後の成長を占ううえで重要なファクターだ。国内で輸出比率が10%を超えているのは武田薬品工業等6社。薬全体の輸出高に占めるこの6社のシェアは10年の間に7割から9割まで伸長した。国内市場が伸び悩む中、未開拓の海外市場へ展開できる販売網と薬を持たねば生き残りが難しくなりつつある。
 2005年4月に合併を予定している山之内製薬と藤沢薬品工業は、このような状況を睨みスケールメリットを追求した。欧米製薬業界に比べて日本は再編が遅れていたが、これをきっかけに動きが出てくるだろう。
【藤尾明彦記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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