「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
■道民(総計4479人)
○ネット調査
賛成派60%(賛成29%+どちらかといえば賛成31%)
反対派23%(反対11%+どちらかといえば反対12%)
わからない 18%
○街頭調査
賛成派75%(賛成48%+どちらかといえば賛成27%)
反対派15%(反対7%+どちらかといえば反対8%)
わからない  9%

市民と道民をあわせた結果では、郵送(市民のみ)の賛成派は52%、ネット調査の賛成派は57%、街頭調査の賛成派は65%で、3つの調査すべてにおいて賛成派が過半数を占めたことになる。

ただし、札幌市民に限ってみると賛成派は52~57%と道民の結果よりも低めで、反対派も31~39%と道民結果より高い。経費負担が伴う開催都市ならではの反応だろう。

この結果を受けて秋元札幌市長は「2030年大会招致活動の次のステップに進むために、今後関係団体への、より一層の協力を依頼していきたい」と大会招致に意欲をみせた。

その一方で、地元紙の北海道新聞は3月22日付の社説で「札幌五輪調査 招致合意とは言い難い」と冷静な分析を示している。調査期間(3月2日~14日、調査手法により異なる)が日本勢の活躍した北京五輪の余熱が残っている時期だったこと、市が調査に併せ、駅前の地下歩行空間で招致PR活動を行っていたことを挙げ、「中立で客観的な環境で民意を測ろうとしたのかは疑問が残る」と指摘している。

地元の札幌、北海道の意向とは別に、Yahoo!が行っている「招致賛成か反対か」を問う調査(3月15日~25日)には1万7226人が投票。「賛成」2024票、「反対」1万4982票、「わからない」「どちらでもない」220票で、反対が全体の約87%と圧倒的に多い結果となっている。

対象がまったく異なるうえ、調査主体も調査方法も異なるので単純には比較できないが、正反対の結果となった。インターネット上では、トラブル続きだった東京五輪の総括、検証も済んでいないのに、再び五輪開催という流れに疑問を抱く声も聞かれる。

過熱する地元経済界の招致機運

五輪招致に向けて前のめりなのは札幌市だけではない。地元の経済界も熱い視線を送っている。北海道新聞が昨年12月に実施した道内主要企業を対象にした五輪に関する意識調査(1月12日発表=回答201社)によると、招致に「賛成」は34.3%で「どちらかといえば賛成」が30.3%。賛成派が64.6%で反対派の13.0%を大きく上回った。

賛成の理由でもっとも多かったのは「北海道全体の経済活動が活性化する」で、そのほかに「会場となる地域と近郊の経済活動が活性化する」「北海道の魅力を世界に発信できる」といった点があげられている。

招致に向けた動きもみられる。札幌市は2014年に、2026年冬季五輪招致を表明した(その後延期)が、これを受けて札幌商工会議所は、翌年「冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会」を設立し、今日に至っている。そして現在、同会は個人レベルの応援組織「冬季オリパラサポーターズクラブ」のメンバーを募集するなど、招致実現に向けた機運を高める取り組みを行っている。

次ページ札幌を直撃した人口減ショック
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事