北京五輪の陰で「東京五輪レガシー」の不安な将来 「後利用が困難」と見られる海の森水上競技場は今

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東京五輪開催時の海の森水上競技場(写真:筆者撮影)

世界的なオミクロン株の拡大の中、コロナ禍2度目の五輪である2022年北京冬季五輪が、今日4日に開幕する。

同国のコロナ対策は、2021年夏に開催された東京五輪をはるかに超える厳格ぶりだ。大会参加者は出発前2回と北京の空港到着時の検査が必須。さらに、滞在中は毎日受検が義務化され、行動範囲も一般市民と接触しないよう選手村や会場のみに制限される。報道陣も同様で、工事現場のように周辺が壁で覆われたホテルでバブル生活を余儀なくされるというから、ストレスがたまるに違いない。

開会式会場の北京国家体育場(愛称=鳥の巣)は、2008年夏季五輪が行われた場所。再び世界的ビッグイベントで活用されるというのは前向きな印象を受ける。だが、14年前の五輪競技会場のすべてが今も有効利用されているわけではないもようだ。

東京五輪にも残る「レガシー問題」

1998年長野冬季五輪でボブスレーやリュージュ、スケルトン会場として使われた長野市ボブスレー・リュージュパーク(愛称=スパイラル)にしても、供用開始から20年を経た2017年末に休止に至っている。コストのかかるスポーツ施設を存続させるのは、開催都市にとって非常に負担が大きいのだ。

東京五輪に関しても「レガシー問題」は前々からの懸念材料だった。ご存じの通り、東京都は東京アクアティクスセンター、カヌー・スラロームセンターなど6つの新規恒久施設を整備した。が、2019年段階で収支黒字を見込んでいるのは有明アリーナだけなのである。

東京都や関係者の期待が高い同施設は、年間来場者目標の140万人のうち、89万人を国内外アーティスト等のコンサートによる集客で見積もっているが、長引くコロナ禍でそういったイベントが開催できるかは不透明だ。再開業は2022年8月を予定しているものの、その時点で世界的パンデミックが完全終息しているとは考えづらい。ここ数年間は低空飛行を余儀なくされそうで、黒字化への道が険しくなる恐れも否定できないだろう。

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