国の導入遅い「子の死因究明」に山梨が力入れる訳 知事はなぜ「県の重要政策」と位置づけたのか

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そういう意味では、もっとパイを大きくして実施するべきです。全国的にいろんな事例を集約して、国レベルで検証をしっかりしてフィードバックするような形が取れたら本当はいいですよね。あるいは、各県で検証したものを情報交換できればいいと思います。

他県の検証結果のすべてが本県の参考になるかはわかりませんけども、そこから、ケーススタディとして、「こういう対策があるよね」と知ることができます。その対策を具体的に実行する際は、各県でベストな対応をすればいいと思うんです。全国でやるべきもの、各地域でやるべきもの、それを意識しながら取り組むのが効果的ではないでしょうか。

――県単位の方がCDRを進めやすいが、検証結果のフィードバックは全国的に行ったほうがよいということですね。モデル事業参加の他県との交流はありますか。

知事に就任した2019年の6月に滋賀県で「日本創生のための将来世代応援知事同盟サミット」が開かれました。まさに子育てについて議論する場だったので、「CDRをやりませんか」と提案しました。主催者の三日月大造・滋賀県知事も賛同されて「これ、いいですね」と言っていただけました。滋賀県もCDRモデル事業をやってますよね。(モデル事業に参加している)滋賀、三重、高知などは、将来世代応援知事同盟の仲間です。

CDRは国の事業として全国展開すべき

――コロナ対応でCDRが思うように進められなかった県もあるようです。

CDRとコロナは関係ないですね。いや、関係ないとは、すみません。それだけCDRは重要な話だということです。CDRの担当部署からもコロナ対応に人員を割いていただくなど、どこの部署もギリギリの人数でやっています。それでもCDRを止めるわけにはいきません。何があっても進めるべきだと思っています。

――CDRは本来なら2022年度に国が制度化する予定でした。今は2023年度に創設の「こども家庭庁」に組み込まれる予定です。どのように期待していますか。

CDRは、やはり、国の事業として全国展開すべきだと思います。その中で、国と、現場である県、市町村で役割分担していくのがいいと思います。例えば、洗濯機の中に入った子どもが亡くなるという事故が過去にありましたが、製品のデザインだとか、食べ物が喉に詰まらない大きさにするとか、メーカーに対するフィードバックは国にやっていただきたいことです。

他方で、個別の研修会などはわれわれが実施する。より効果的にするために国と都道府県が連携してやれば、こども家庭庁の目玉の一つになると思います。こういう取り組みこそ、“横割り”の省庁ですよね。さまざまな省庁をまたぐ横割りの組織であるこども家庭庁がふさわしい。オールジャパンですべきことです。

山梨県庁(写真:穐吉洋子)
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