超地味な「地理」が高校の必修科目になったなぜ 4月から登場する「地理総合」で学ぶこと
何年間かの紆余曲折を経た結果、自然環境と人間の暮らしの関係、自分の住む地域を学ぶ教科である地理が担当するのが妥当と落ち着いた。実際、この4月からの地理総合では防災は大きな柱の1つとなっている。
2011年にはもう1つ、現在の地理総合、歴史総合につながる動きがあった。日本学術会議が前述の世界史未履修問題の解決策として当時の高校地理歴史科教育に関する抜本的な改革を提案したのである。
サブタイトルに「グローバル化に対応した時空間認識の育成」とあるように歴史=時間認識、地理=空間認識のバランスの取れた教育を重視するものであり、「科目の名称などに多少の差異はあるが、今回の学習指導要領はこの提案の影響を受けているのでは」と文部科学省初等中等教育局の三橋浩志氏は見る。
大きく3本の柱からなる「地理総合」
歴史、地理ともに再編は同じ流れだが、地理にはこれまで各教科に部分的にしか含まれていなかった、あるいはまったく盛り込まれていなかった、主に現代の課題を取り上げる内容が体系だって多く含まれている。
具体的な内容は以下のとおりだ。
(1) 地図や地理情報システムと現代世界
B 国際理解と国際協力
(1)生活文化の多様性と国際理解
(2)地球的課題と国際協力
C 持続可能な地域づくりと私たち
(1) 自然環境と防災
(2) 生活圏の調査と地域の展望
地理総合は大きく3本の柱からなっているが、従来の地理教育とされてきた内容は冒頭の地図や地理情報システムを主題にする部分。それ以外の、国際理解と国際協力、持続可能な地域づくりなどといったテーマはこれからの社会に必要な知識ながら、科目の取り方によっては学ばないことも多かった。
それが必履修になることで、これからの高校生は温暖化や地球環境、難民問題、SDGs、地方創生や地域の街づくりなどについて学ぶようになるのである。暗記科目としての地理とは大きく異なる教科であることがおわかりいただけよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら