英語で「Good Luck」使う人が知らないマズい意味 異動する人に、安易に伝えたら微妙な雰囲気に

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では、本当に送別の言葉として、寄せ書きなどには何を書いたらよいでしょうか。そもそもGood Byeはどうでしょう?

これは日本語でいう「さよなら」に相当するので、日本語の感覚ではなんだか二度と会わない人にいう感じがしてよくないのかと思います。実はGood Byeの語源は「May God be with you」から転じたといわれています。つまり「神のご加護を」「神と共にあらんことを」ですから、ちょっと宗教の問題は置いておいて、その人の無事や成功を祈るという意味では悪いあいさつではありません。

「スター・ウォーズ」における「さよなら」

ちなみにちょっと横道にそれますが、「May the force be with you」という言葉を聞いたことがありますか?これは映画『スター・ウォーズ』にでてくるジェダイの騎士たちの別れのあいさつです。Force(フォース)というのはこの映画にたびたび出てくる主人公の属する「ジェダイの騎士」たちが信じる超自然的な力です。

この「May the force be with you」を日本語の字幕では「フォースと共にあらんことを」と訳していますが、要するに「May God be with you」のGodがthe forceに置き換わっているわけで、英語話者であればこれが映画の世界線での「Good Bye」であると理解できます。

結局どんな言葉ならいいのかと言いますと、私なら「Best wishes」あたりが無難なのかと思います。また、新天地で何をするかがわかっていて、出世したり、いいオファーを受けての転職であれば、「Congratulations on your new job」というのもよいでしょう。

Congratulationsは「おめでとう」ですから、日本語の送別としてはちょっと違和感がありますが、英語ではよく聞かれるフレーズです。ちなみにBest wishesでもCongratulationsでも、お祝いを言う場合は必ず複数形を使います。それはなぜかと言われても、そうだからそうなんだとしか言いようがないのですが、どなたか理由をご存じでしょうか。

日本と海外でこうも違う異動のあいさつですが、そもそも、異動という考え方そのものがまったく違います。伝統的な日本企業では大学を卒業すると全員同じ条件で採用され、3年くらい経つと別な部署に異動になっていろいろな職種を経験する、というのが通常のようです。

これは私が長く経験してきた欧米のIT企業などにはまったくない考え方ですね。海外では例えば人事なら人事の専門職、営業なら営業の専門職として採用されますので、経理の人が突然総務に異動したり、開発の人が営業に変わったりということはめったにありません。

そもそも大学というのが専門職のスキルを身につけるためにあるという発想です。従って日本で新卒の社員から、「何もわかりませんがよろしくお願いします!」と爽やかにあいさつをされると、状況を理解していない外国人マネージャーならきっと青ざめてしまうと思います。

もうじき新入社員も入ってくる時期です。さてどんなあいさつをしましょうかね。

デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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