英語で「Good Luck」使う人が知らないマズい意味 異動する人に、安易に伝えたら微妙な雰囲気に

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実を言うと、私が日頃社員向けのメッセージをメールで出す際、日英両方で出すことが多いのですが、この時の日本語と英語は必ずしも一致していません。むろん同じことを伝えているのですが、言い回しについては全くリンクしていません。英語にせよ、日本語にせよ、同じ理解をしてもらうことができればいいわけです。そう割り切ってしまえば翻訳の正確さに頭をひねるよりも遥かに効率的なように思います。

場面によってニュアンスが変わる「Good Luck」

さて、話を送別の言葉に戻します。英語で新天地に向かう人を励ます言葉。ここで皆さんが思いつくフレーズは「Good Luck」(ご幸運を)ではないでしょうか。Good Luckは「幸運を祈ります」ですから、新天地に旅立つ人にはうってつけの言葉のように思えます。ただ、実際の日常の中で使われるシーンによっては、Good Luckはまったく違うニュアンスになるので、注意が必要です。例えばこんな感じです。

アメリカでタクシーに乗っていました。ちょっと新人のドライバーだったらしく、道に詳しくありません。気が付くと左折禁止(右側通行なので)の交差点を曲がってしまい、それを見た白バイに止められてしまいました。乗客である私はそこまでの料金を払い、車を降ります。ドライバーはもう半泣きで、白バイ警官は違反チケットを用意し始めています。ここで私が発する言葉が「Good Luck」です。

いわば「お気の毒さま」「せいぜい頑張ってね」というような、ちょっと茶化したようなニュアンスで「ご好運を」とその人の不運を見舞う感じです。

もう1つの例としては、あまり成績のよくない営業マンが、突然会ったこともない会社のお偉いさんから個別面談を求められたとします。お説教か、もしかするとクビを言い渡されるんじゃないか……そんな不安そうな人に対し、仲のいい同僚が茶化し半分に言うのが「Good Luck」です。

もうおわかりになったかと思いますが、Good Luckは「ご好運を」の意味も確かにありますが、「この先ほぼ間違いなく不幸に遭う人にかける一言」でもあるのです。むしろそっちの使い方のほうが多いように思います。

確かに送別の言葉として「Good Luck」はいいと思いますが、要は使うシーン次第ということになると思います。もしその相手が英語話者でこれから異動する先の組織についてちょっと悪い噂を聞いていて不安に感じているなら、そこで「Good Luck!」と言われるとどんな不幸が待っているのかと青ざめてしまうかもしれませんので、注意が必要です。

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