超小型パソコン「Mac Studio」20万円超の価値 対象を「クリエーター」に絞った設計の秘密
Mac Studioはクリエーター向けデスクトップとして用意されているが、Macのデスクトップラインナップの中では、iMac 27インチ、iMac Pro、そしてMac Proのユーザーのアップルシリコンへの移行先として想定されている。
これらの製品を使っているユーザーもまた、Mac Studioがターゲットとするクリエーターであり、同時に発表された27インチ5K解像度のStudio Displayとの組み合わせでこれらのニーズをカバーしようとしている。つまり、どうやら27インチiMac・iMac Proの後継モデルは用意されないようだ。
アップルは今までのラインナップと共に、以下のようなデスクトップ環境の移行パターンを用意している。
1. iMac 24インチ(M1、4.5K解像度)
2. Mac mini(M1)+ Studio Display(27インチ 5K解像度)
3. MacBook Pro(M1 ProもしくはM1 Max) + Studio Display
4. Mac Studio(M1 MaxもしくはM1 Ultra)+ Studio Display
クリエーターは自分の作業で必要な負荷と投資できるコストを考えて、1から4を選択することになる。アップルとしては4つ目の選択肢を今回用意して、ビデオやグラフィックスを多用するクリエーターをカバーできるようにした。
もちろんStudio Displayは約20万円であるため、より安価なディスプレーとの組み合わせも検討すべきだが、一体型のiMacと違い、本体とディスプレーを別々に投資することで、本体だけを乗り換えて環境を更新できるようにした点で、自由度が高まったといえる。
M1 Ultraの性能
M1 Ultraの性能は、基本的には万人に必要のないものだ。筆者はMacBook Pro 14インチモデルでM1 Maxを選択しているが、4Kビデオ編集も含めてあらゆることが瞬時に処理され、ビデオの書き出し時間ですらそもそも早かったM1モデルの半分で済んでいるから驚かされる。
前述のデスクトップの移行パターンにM1がリストされている点も、そもそもM1の性能も十分なパフォーマンスを発揮すると、アップルが考えているからだろう。
アップルシリコンは、iPhoneやiPadに用いてきたAシリーズのチップの延長線上にあり、設計の思想として今までのインテル系チップとは異なる出発点、つまりモバイルデバイスの高性能化にあった。それゆえに、生まれながらにして高性能と低消費電力という特徴を備えていた。
2020年11月に登場したM1チップはMacBook AirとMacBook Pro 13インチモデルというモバイルノートに搭載され、驚異的なバッテリー持続時間と、デスクトップPC並の性能を両立させて驚かせた。2021年10月にMacBook Proに搭載されたM1 Pro・M1 Maxは、消費電力を抑えながら、ビデオやグラフィックスの処理に優れた性能を発揮する製品となった。
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