超小型パソコン「Mac Studio」20万円超の価値 対象を「クリエーター」に絞った設計の秘密

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さらにディスプレーの中央上部には1200万画素の超広角カメラが内蔵され、iPadでおなじみになった被写体を中央に自動的に映し出すカメラワークが便利な「センターフレーム」に対応している。この画像処理やセンターフレームの実現にも、A13 Bionicが役立っている。そして3つのスタジオ品質マイクも内蔵。

筆者はノートパソコンがメインのコンピューターで、家で外付けディスプレーを使っている。しかし筆者のディスプレーにはカメラが搭載されておらず、ビデオ会議に参加するときはノートパソコンを開いてカメラを使わなければならない。またフタを閉じていると、スピーカーもマイクも音もこもる。

Studio Displayにケーブル1本で接続すると、カメラもスピーカーもマイクも、すべて外付けディスプレーでビデオ会議に参加することができるようになる。値段が20万円という点はなかなか頭を悩ませるポイントだが……。

さらに最上位のMac Proを残すのみ

アップルは今回のMacの発表で、ノート、デスクトップのラインナップをインテルチップからアップルシリコンへと移行させた。2年という年限が設定されている中で、残すはさらに最上位に位置するMac Proを残すのみとなった。

M1 Ultraが搭載されたMac Studioは、処理性能としてはこれまでのMac Proを上回ることができているが、コンピューターとしてグラフィックス性能が最も優れているとはいえない。

加えて、搭載できるメモリーの量が128GBであり、より巨大なデータを同時に扱うアプリへの対応に不安が残る。インテル版のMac Proは、最大で1.5TBのメモリが搭載できたことを考えると、Mac Studioとて、Mac Proの代替とは言えない。

移行が残されているMac Proについては、本体に内蔵できる拡張カードや、グラフィックスの増強、そしてメモリー増強といった対策を施す必要があり、アップルとしてもこうしたニーズに応えるモデルをMac Proとして投入することになる。

ただし、M1 Max搭載Mac Studioですら、この性能を使い切るユーザーは限られることになるだろう。

例えば日常的に短い動画編集を行うインフルエンサーであっても、16GBメモリーのM1を搭載するiMacで十分快適な作業環境ができあがる。あるいは学生はM1搭載のMacBook Airで4年間快適に過ごすことができそうだし、4K動画を日常的に編集するとしても、14インチMacBook Proに時々外付けディスプレーを追加すれば、パフォーマンスに不満を覚えることはほぼないだろう。

それだけ、いままでのM1からM1 Maxまでのアップルシリコンが、より現実的な利用シーンで十分な性能を発揮できているという意味であり、Mac StudioやM1 Ultraが登場しても、筆者のその考え方を変えるには至らない。

裏を返せば、大半のユーザーをM1でカバーできるからこそ、クリエーターにターゲットを絞ってMac Studioを設計することができたと見ることができるのだ。

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