超小型パソコン「Mac Studio」20万円超の価値 対象を「クリエーター」に絞った設計の秘密

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そして今回Mac StudioにはM1 Maxに加えて、M1 Ultraが搭載され、iMac 27インチモデルやMac Proの一部のユーザーが乗り換えられるだけの性能優位性を発揮する。

Geekbench 5のCPUスコアで比較すると、M1で7500前後、M1 ProとM1 Maxで12500前後だったスコアは、M1 Ultraでは24000前後のスコアを叩き出している。M1 Pro・Maxの2倍前後のスコアになっているのは、M1 Ultraに20コアのCPUが搭載されているからだ。

今回借りたモデルは64コアGPUのM1 Ultraが搭載されており、Metalのスコアで103500前後を記録した。同スコアはM1が21000前後、M1 Proが40000前後、M1 Maxが72000前後だったことを考えると、こちらも大きな性能向上が見られる。

アップルはMac Studioの環境性能をアピールしており、M1 Ultraは同等の性能を発揮するWindows PCに比べて、CPUで100W、GPUで200Wの消費電力を節約でき、年間1000kWhの電力を抑えられるという。

日本の電気代にして約3万円程度だが、環境意識が高いZ世代のクリエーターにとっては重要な関心事であり、クリエイティブスタジオや大学のように多数の高性能マシンを集める部屋を構成する場合、電源の引き回しや排熱を考慮した空調等にも影響が出る。

特にリモートワークの定着で自宅に本格的なクリエイティブ環境を整える場合、コンパクトな本体と低い消費電力は、高性能マシンを手元に置く現実的な選択肢を提供してくれる。

M1 Ultraの秘密とは?

さて、最新版のアップルシリコンであるM1 Ultraは、Macの最高性能を引き上げ、消費電力あたりのパフォーマンスを大きく向上させる環境性能も備える。「最新版」と言ったが、実はこのチップ自体が最新というわけではない。

何を隠そう、このチップは、2021年10月に発表されていたM1 Maxを2つつなぎあわせたものだからだ。

M1 Maxには未発表の秘密があった。それは、M1 Ultraとして2つを組み合わせるための物理的なコネクターと、20コアを効率的に扱うためのコントローラーまで備わっていたというのだ。もともと2つを連結して使う前提でM1 Maxが設計されていたのだ。

筆者はM1 Maxが登場したとき、将来のプロ向けMacはこのM1 Maxチップを複数個搭載することになる、と予測していた。しかしこの予想にはいくつかの問題点があった。

単純に基盤の上にM1 Maxを2つ並べた場合、これら2つのチップの間のデータ通信はどうしても遅くなり、高速化のネックになる。またアップルシリコンの売りである単一のメモリ空間へのアクセスを可能とするユニファイドメモリーの良さも生かせなくなってしまう。そして、OSやソフトウェアを2つのチップを扱うよう書き換える最適化をしなければ、その速度が生かせなくなってしまう。

Mac Studioの背面には、USB-Aを含め、ポート類が充実する。排熱機構は、底面から空気を吸い込み、背面から排気する仕組みで、M1 Ultraには重たく排熱効率の高い銅のヒートシンクが用いられる(筆者撮影)
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