超小型パソコン「Mac Studio」20万円超の価値 対象を「クリエーター」に絞った設計の秘密
これを解決するのが、M1 Maxに予め用意されていたUltra Fusionというコネクターによる連結で、帯域幅は毎秒2.5TB、メモリーのバンド幅も倍の毎秒800MBを確保し、2つを組み合わせることによる速度への影響を生じさせない工夫を施している。
またソフトウェアからは1つのチップとしてM1 Ultraが扱われる。そのためアップルシリコン対応アプリは、そのまま実行しても、高いパフォーマンスを発揮するのだ。
デモでは、Final Cut Proで4KのProResビデオ映像を18本同時に走らせる編集画面が披露されたが、マウスでタイムラインをなぞっても、何の遅れもなくプレビューが表示される点は驚いた。M1 Maxでは9ストリームが限界だったことから、やはりチップ2つ分の性能を発揮しているとわかる。しかし、見かけ上は1つのチップなのだ。
Studio Displayの秘密
Studio Displayは27インチに5K解像度を備える外付けモニターだ。Macとは付属する黒いThunderbolt 4ケーブルで接続するだけで認識し、すぐに使えるようになる。
アルミニウムのボディは上下の側面にメッシュがあしらわれ、排熱する仕組みとなっている。厚みは2cmでフラットなシンプルさ。スタンドはiMacのような角度調整に対応したもの、ProDisplay XDR用のような高さと角度が調整できるスタンド、そしてスタンドなしのVESAマウントアダプターモデルの3種類から選べる。
角度調整に対応する通常のスタンドは奥行き16.8cmで設置することができ、前述のMac Studioとの組み合わせによってコンパクトなデスク環境を実現できるのだ。なお、電源ケーブルは本体から取り外せない。
この27インチで5K解像度という製品は、日本で購入できる外付けディスプレーとしてはめずらしい。さらに、600ニトという明るさもまた、液晶ディスプレーとしては高品質。ディスプレーとしてみただけでも、Studio Displayはユニークな部類に入る。
MacBook ProのミニLEDバックライトに比べれば明るさは劣るが、それでも外付けディスプレーの中では十分に明るく、HDRコンテンツの再生や編集をよりスムーズに行うことができる。
このディスプレーにも秘密があり、実はiPhone 11シリーズに搭載されていたA13 Bionicチップが内蔵され、しかも64GBストレージが搭載されているとiOS 15.4のフルバージョンが動作するというから驚かされる。接続したMacを通じてソフトウェアのアップデートに対応するが、ディスプレー単体でアプリを動かすことはできない。
ではこのA13 Bionicチップが現段階で何をしているのか。ディスプレーに内蔵されているスピーカーとカメラのコントロール、つまりオーディオとビデオの品質向上に役立てられている。
Studio Displayには6スピーカーが内蔵されており、豊かな低音と伸びやかで広がりのあるサラウンドを実現している。ディスプレー内蔵のスピーカーは基本的に期待すべき代物ではなかったが、Studio Displayはまったく異なる。Apple Music等で配信される空間オーディオも包み込まれるような体験で楽しめる。基本的な仕組みは24インチiMacと同様だが、さらに改良を加えているという。
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