アウディ「Q4 e-tron」業界内での期待値が高い訳 「リスク覚悟の戦略」で得たアドバンテージ

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搭載するバッテリーの容量は93.4kWhと大きく、それに伴い車両重量は2320kgと重量級だが、クルマ全体の“重ったるさ”がない。かといって、ドッシリ感やズッシリ感という表現も当てはまらず、一言でいうとやはり“スッキリ”という表現になる。

試乗中は、歩行者や対向車の乗員からも注目されることが多く、追い越し車線を走行するメルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車が、「この車、何?」という感じで様子をうかがうように並走することが何度もあった。

首都高速 大黒PAに2021年12月に設置された6口式の急速充電器の前で(筆者撮影)

タンゴレッドメタリックのボディカラーが目立つのは当然だが、「アウディのロゴがついているが、これまでとは異質なモノ」というオーラが漂っているのだろう。低く大きなスタイリングは、誰の目にも「タダモノではない」と映る。

車内の各種操作系は、先進性とアナログっぽさが融合していてすぐに馴染めるうえに、アウディらしい“感性に対する主張”をしっかり捉えることができる。

アウディに乗ったことがあれば違和感のない「RS e-tron GT」のインテリア(筆者撮影)

パワーについては、市街地や高速道路での走行のため、最高主力475kW/最大トルク830Nm、停止状態から時速100kmまでわずか3.3秒という加速感を思い切り味わうことはできなかったが、ドライブモードを切り替えることで、その片鱗を感じ取ることはできた。

その様子を一言で表現するならば“豪快”ではなく“痛快”。どんなに速くても、ハンドリングはスッキリしてしてい、コントローラブル(扱いやすい)だと感じる。

“アウディらしさ”と“ポルシェらしさ”の違い

一方、最高出力390kW/最大トルク640Nmのe-tron GT quattroは、スッキリ感に加えてラグジュアリーなゆったり感もあった。

RSモデルとは異なる走りの「e-tron GT quattro」(筆者撮影)

見た目のイメージからe-tron GT quattroよりも、RS e-tron GTのほうが尖がった走りを想像するが、そうではないところがアウディのおもしろさだ。そうしたアウディらしい走りのアレンジが、BEVプラットフォームを共有する「タイカン」シリーズの“ポルシェらしさ”との違いに思える。

もう1台のe-tron 50 quattro S lineは、全長4900mm×全幅1935mm×全高1630mmで、こちらもかなりの大柄だ。

「e-tron 50 quattro S line」を横浜市内にて。車高を最も高く上げた状態(筆者撮影)

最大出力230kW/最大トルク540Nmの4WDで、RS e-tron GTやe-tron GT quattroと比べるとドッシリ感が強い。また、小型カメラを用いたサイドミラーである「バーチャルエクステリアミラー」など、車内空間でも先進性を打ち出している。

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