池上彰、18歳成年の時代に伝えたい「お金の基本」 子を持つ親も知っておきたいニューノーマル

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これからの世の中における「お金」を考えたとき、私たちの生活に密接に関わるという点で重要な存在といえる「キャッシュレス」。

「キャッシュレス」とは文字通り、現金(=キャッシュ)が必要ない(=レス) 決済手段ですが、代表的なキャッシュレスであるクレジットカードを使って買い物をすれば、カード会社に支払い情報が伝わり、代金を立て替えて店側に支払ってくれます。

そして利用者は、後でカード会社に銀行口座からの引き落としなどで代金を支払うことになる。つまり「カード会社にお金を借りて買い物をする」ということです。

しかし、“ベテランの大人”である私たちですらその仕組みを錯覚し、お金のトラブルに陥ってしまうことは少なからずある。親が子どもにちゃんと諭しておくべきなのは、「クレジットカード払いは、お金を借りて買い物をすること」という点でしょう。

「見えないお金」の新たな問題点

スマートフォンを専用機器にかざして支払う電子マネーなども、ここ数年でかなり普及してきました。総務省「情報通信白書(2021年版)」によると、日本の世帯の8割以上がスマホを保有しているそうですが、インターネットの進展やスマホの普及とともに問題になっているのが「スマホ課金」です。オンラインゲームなどで子どもが親の許可なく課金を重ねることによるトラブルがあとを絶たないのです。

現金を持ち歩かずに使うことができる便利なキャッシュレス。でも、「見えないお金」だからこそ、お金を使っているという感覚が驚くほど乏しくなります。子どもが18歳で成人になれば、諸条件があるとはいえ、親の同意なくクレジットカードを作れるようになる。

大人になれば、自分の収入から何にお金を使おうが自由かもしれませんが、好きなだけ課金していたらいくらお金があっても足りません。「見えないお金」も現実のお金と同様、計画的に使わなければならないことを、事あるごとに子どもに伝えるのは、今の世の中を生きる親としての絶対的な役目と言えるでしょう。

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以上、この記事では、これから大人になっていく子どもたちが「今の世の中を生きていくために知っておくべきこと」のうち、「お金」にまつわるトピックスをざっと解説しました。

大人である私たちからすれば「当然のこと」「今さらなこと」かもしれませんが、いずれも“落とし穴”があり、そもそもの基本を見失い“ハマってしまった”大人たちも少なくありません。だからこそ、親である以上、そのことをしっかり子どもに教え諭していかなければならないのです。

大人として、そして親としてあらためて把握しておくべき「お金」の常識。私たちより2年も早く大人になる子どもたちに、お金のリスクを“早めに”伝えていく。これこそが、今時の親としての“ニューノーマル”なのではないでしょうか。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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