池上彰、18歳成年の時代に伝えたい「お金の基本」 子を持つ親も知っておきたいニューノーマル
さて、お金の使い道としてあらためて理解しておきたいのが、前述した「貯める」と「増やす」です。どちらも「お金の量が増えていく」ことですが、子どもに対してその意味を簡単に伝えるなら、お金を貯めるのは「貯蓄」、お金を増やすのは「投資」ということになるでしょう。
とくに日本は子どもへの「投資」の教育が遅れていると言えますが、お金を「増やす」仕組みを大人になるまでにざっと知っておくことは、これからの世の中を生きていくうえでますます重要になっていくはずです。
銀行にお金を預けてもほとんど増えない
まずは「貯蓄」から。貯蓄という仕組みの代表格は、銀行預金でしょう。銀行にお金を預けると、預金額に応じて利息がもらえますが、普通預金だと金利は0.001%ほど。つまり、100万円預けても、1年後にたった10円しかお金は増えません。1億円でもわずか1000円です。
お金が増えるもう一つの仕組みである「投資」は、株のように利益を見込んでお金を出すことです。しかし、どの株をいつ売買すればいいかを判断するのは、株の知識がない人には難しいもの。そこで、世の中の投資家からお金を集め、株などに詳しいプロに運用を任せる「投資信託」というものも存在します。
親として、ちゃんとそのことを踏まえておけば、貯蓄は「自由に引き出して使うことができるお金」であり、投資は「将来のために利益を期待して運用するお金」、という考え方を子どもに伝えることもできるでしょう。
ただし、ここであらためて思い浮かべるべきは、「お金は良いものにも悪いものにもなる」ということ。貯蓄や投資における基本である「リターン」と「リスク」の関係は、子どもにもしっかり諭しておくべきです。
リターンとは、得られる利益(または損失)のことで、リスクとは、その振れ幅のこと。一般的に、リスクが大きいほどリターンが大きく(例えば株)、リスクが小さいほどリターンが小さい(例えば貯蓄)といった傾向があるのはご存じの通りですが、「大きな利益を追求すれば、リスクが大きくなって損をする可能性がある」ことを大人でさえ見誤ったりしてしまう。そのことをしっかり子どもに伝え、「確実にお金が儲かる」ようなうまい話はそうそうないということを認識させておきたいものです。
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