81歳の志茂田景樹「短所はほっとけ」と語るワケ 短所は直しづらいが、長所は磨けば光ってくる
「本当に助かりました。生死の岐路に立っていました。その理由は訊かないでください。死んでも言いたくないことがあるんですよね」そんな風に言われて、なお訊いたら野暮ってもんだろ。 あのとき少年だった、この彼には500円以内の電車賃で行けるところに向かうことで、救われる事情があったってことだよな。
世の中はいろいろよ。親切にしたほうはただの親切のつもりで、いつしか忘れてしまっていても、親切を受けたほうは、こういう人もいるんだからもう少し頑張って生きてみよう、と考えを改めて立ち直る。そして、いつか誰かに親切を送る。
親切は持ちつ持たれつで巡るんだ。無理なくできる親切だったらやっておけよ。
長所がすべての短所を呑み尽くす
短所はいくらあってもほっとけ。
磨かれた長所がすべての短所を呑み尽くす」
長所・短所をどう感じるかは、人によってみんな違う。他人の長所は、際立って見えるから欲しがる人が多いのよ。人の1つの長所には、10ぐらいの短所が隠れている。誰も欲しがらないから見ないけれどね。
ここで言いたいことは、他人の長所・短所はどうでもいいってこと。大切なのは自分の長所・短所をよく見て、長所を磨くこと。短所は直しづらい。長所は磨けば光ってくるから自分の長所を見つけよう。
長所を見つけず、おれは短所だらけのダメなやつだ、と卑下していないか。僕もそうだったのよ。
1945年の終戦の年、僕は5歳だった。その年の8月に15歳年長の兄が戦死した。僕の上には姉2人がいて、次姉とは8歳違いだから、両親は僕を溺愛した。虚弱児風でやせて小さかったので、年齢どおりに見られることはなかったかなあ。不憫な子、と親から思われていたのかな。