カローラ輸出が転機に、トヨタ国内生産の限界

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だが、08年を境に円高が進行する過程で、大衆車で利幅が限られるカローラを輸出するメリットは急速に薄れてしまった。

トヨタは今年4月に、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁であるNUMMI(カリフォルニア州)を清算。同社で製造していたカローラは日本国内などへ移管されたが、あくまでも緊急避難的な措置にすぎない。11年秋には米国ミシシッピで稼働する新工場に移される。さらに次期モデルの投入に合わせ、13年ごろには輸出分のほとんどが海外に移管されることになりそうだ。

トヨタの収益構造も急激に変化している。伝統的に稼ぎ頭だった北米では、金融事業を除いた営業損益が7~9月期に114億円の赤字となった。市場環境の悪化で販促費を積み増した結果だ。同時期は日本と欧州も営業赤字。アジアなど新興国での黒字に完全に依存している。

この局面で、輸出型のビジネスモデルを継続するのには限界があるだろう。1ドルが100円を超えていた時代に国内に抱え込んだ生産能力をどこまでダウンサイジングすればいいのか。100万台の海外移管も、絵空事とはいえなくなってきている。

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(週刊東洋経済2010年11月20日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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