「今が最も価値が高い」即売却すべき物件の特徴 「無価値化・マイナス価値化不動産」は即売り

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また、空き家をあまりに放置しすぎて「迷惑空き家」に指定されたら大変です。2015年成立の「空き家対策特別措置法」では「特定空き家に対する助言・勧告・命令に従わなければ50万円以下の罰金、最後は行政代執行で建物を解体して、解体費用を所有者に請求できる」とされています。

「実家が空き家になったら」と、漠然とした不安を持っている向きは多いでしょう。典型的なのは1947~1949年生まれのいわゆる「団塊世代」を中心とした人口ボリュームゾーンを親に持つ、40~50歳代を中心とした団塊ジュニア世代です。

マイホームを持つことが夢であり、共同住宅であるマンションではなく「一国一城の主」として一戸建てを都市郊外に持つのが住宅すごろくのゴールだった団塊世代と異なり、ジュニア世代は圧倒的に共働き世帯が多く、かつ自動車保有比率も低いこともあって「都心」「駅前」「駅近」を求めます。

都市郊外駅徒歩15~20分、ましてやバス便立地に住む親の実家を将来引き継いだとしても、そこに住むつもりはありません。

親世代はさほど問題意識もない

日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳(厚生労働省/2020年)。親にはもちろん元気で長生きしてほしいものの、やがて実家が空き家になった時、そこに住宅ニーズがないことを子世代は知っています。一方で親世代は、かつての都市郊外ベッドタウンにそこまでニーズがないとは思いもよらず、さほど問題意識もないことが多いのです。

すでに現在の住宅購入ボリュームゾーンは30代中盤と、ジュニア世代より一回り下で、人口は団塊世代の半分程度。そのうえ団塊世代のように、住宅の「所有」にこだわる風潮はなく、ジュニア世代より共働き比率が高く、自動車保有率は一段と低下しています。

すでにこんな事態である中で、さらに時間が経過すれば、実家の不動産ニーズは細るばかり。近隣に空き家も増え需給悪化も必至。市場で売却しようとしても買い手がつかないどころか、タダでも引き取り手があるかどうかというところです。

こうした話はベッドタウンに住む親世代には受け入れがたい話でしょう。しかし住宅ニーズはすでに大きく変わったのですから、ご自身の成功体験からくる価値観は一旦捨ててほしいところです。

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