「今が最も価値が高い」即売却すべき物件の特徴 「無価値化・マイナス価値化不動産」は即売り

拡大
縮小

「賃貸に出す」という手もなくはありません。ただしこれは、ある程度の水準の賃料がとれないと採算が合わないことも多いのです。大抵の場合、貸す前に、一定の修繕やリフォームが必要になりますが、例えば30坪の4LDKだと、床壁天井を一通りやるだけでも150万円ほどかかります。さらにキッチンや洗面台など設備系一式で150万円くらいです。

リフォームに300万円かけて貸し出すとしても、それを何年で回収できるのか。仮に月5万円で貸し出せば、年間60万円。そうすると300万円回収するのに5年はかかります。実際は経費もあるから6~7年かかるでしょう。さらに固定資産税も払って……などと考えると結構な賃料を取れる立地でないと成立しないはずです。

人に貸す場合は、従来どおりの「普通借家契約」にすると「正当事由」がなければ退去を強制できませんので注意が必要です。これを嫌うなら「定期借家契約」として、2年・3年などの「期限の定めのある契約」としておきましょう。

これなら決まった年数で退去してもらえますし、双方が合意すれば更新も可能です。定期借家契約に関する諸注意点を述べるのは本書の趣旨ではありませんので省きますが、ググればあらかた出てきますので、そうしたことを理解のうえ、不動産屋さんに相談してみてください。

上位15%の不動産は盤石

上位15%の「価値維持・上昇する不動産」は、極端に言うとどんな方策案をとっても大丈夫。まだ上がると思えばそのままにしておくか、人に貸しておけばいいですし、そろそろ天井かなと判断すれば、売却してもいいと思います。

『バブル再び』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

不動産を大天井で売るというのはなかなか難しい判断で、上昇基調にあるなかで、ちょっと高めの価格で売りに出して様子をみる、くらいでいいのではないでしょうか?

そもそも今がバブルかとか、いやこれからバブル? みたいな話は禅問答で、いつも事後に振り返るしかできないのです。

300年前、ロンドン株式市場の投機ブームに乗って「南海会社」の株を資産のほとんどを費やして購入した万有引力のアイザック・ニュートンは、その3週間後に株が暴落し、すべてを失いました。俗に言う南海泡沫事件で大損し「天体の動きは計算できるが、人々の狂気は計算できなかった」と述懐したのは有名な話です。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT