韓国「新大統領」が日本に突きつけてくる要求 日韓の関係改善を望む尹氏だが、ゆるくはない

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例えば、日本が佐渡島の金山について、その金山における韓国人労働者の強制労働が果たした役割を認めずに、ユネスコ世界遺産への推薦を行う決定をしたことによって、ハワイ会談の雲行きが怪しくなったという。

戦争中の歴史問題に触れることなく三国関係を改善することができるという考えは、韓国の世論の役割も日本国内の政治の役割も、共に無視するものだ。

「尹政権下においては、日本との関係が改善される可能性は高くなる」と保守派のヘリテージ財団で上級研究員をつとめるクリングナー氏は言う。「しかし、韓国側は誰であろうと、そう簡単には日本に関係改善の機会を与えはしない。尹氏はおそらく歴史問題よりも現在の脅威により焦点を絞っていくと思われるが、日本に対してはつねに交換条件を出してくるはずだ」。

これまで以上に多くの要求を出してくる

与党内の強硬路線の保守派とは袂を分かつ気のなさそうな岸田文雄首相にとって、このことがプレッシャーとなる。皮肉なことに、韓国で同じ保守政党が政権を握り、意気揚々としているこの状況は、 日本にさらなる問題が提起されることになる可能性もある。

「同じ保守政権ではあるが、日本に対してこれまで以上に多くの要求を掲げてくる政権にもなりそうだ。そうなれば、どうしても日本側が攻勢を受けやすくなるものと思われる」とスナイダー氏は見る。そして、強制労働と慰安婦の問題はそう簡単には解決されないだろう、とも言う。

バイデン大統領が5月下旬の日本での日米豪印4カ国(クアッド)外相会談を予定通り開催するのであれば、バイデン政権はこのことを注視していくことになる。アメリカ高官はこれらの問題について尹次期大統領と話し合うことにしており、選挙日と、5月10日の新大統領就任日との間の期間が非常に重要となる。

尹氏は新外相率いる政権移行チームをアメリカ政府に派遣する可能性が高く、バイデン政権の高官はすでに、その際の協議における議題を準備中だ。アメリカ政府と日本政府が水面下でいかなる祝福の意を表そうとも、それは長く続かない可能性が高い。厳しい政治的作業が待ち受けている。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)研究副主幹を務めている。クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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