韓国「新大統領」が日本に突きつけてくる要求 日韓の関係改善を望む尹氏だが、ゆるくはない

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アメリカの情報機関がこのほど公表したばかりの年次脅威評価報告書では、この1月に「北朝鮮は、中距離弾道ミサイル(ICBM)や、ことによると本年中の核実験も包括しうる緊張拡大の基礎作りを開始している」としている。複数の衛星写真から、核実験施設修復の初期段階に入っている証拠が示されている。

アメリカの政府機関で朝鮮半島問題についての情報分析をしていた経験のあるブルース・クリングナー氏の見立てでは、北朝鮮を建国した金日成氏の生誕110年を迎える4月15日に合わせて何らかの準備が行われている兆しがあるという。緊張を大いに高める何らかの実験が行われると同氏は考える。「もはや、やるやらないではなく、いつやるかという段階だ」。

実験計画には独自の内部的論拠とタイムテーブルがあるが、北朝鮮はロシアの戦争とアメリカの介入を回避するための核の脅威の使用を注意深く見守っているに違いない。

「ロシアのウクライナ侵攻による、より長期的かつより重大な影響は、ロシアによる国際的な国境を抹消する試みが、北朝鮮にとっての前例となる可能性があるかどうかに掛かっている。北朝鮮は朝鮮半島を分断する休戦ラインの抹消という自らの修正主義の願望を抱いている」と外交問題評議会のスナイダー氏は今週、外交問題評議会にブログを投稿した。

尹氏に最も「厄介」なのは対日関係

尹政権の外交政策で最も厄介なのは、対日関係かもしれない。選挙キャンペーンの間、尹氏とその側近は、文政権の対日関係の取り扱いのまずさを繰り返し批判した。尹氏は1998年に韓国の金大中大統領と日本の小渕恵三首相が発表した共同宣言の精神に立ち返り、日本政府との関係の「再考」を訴えた。

バイデン政権は、関係を改善し、三国間の安全保障協力を強化するよう日韓両政府に働きかけている。アメリカ国務省の高官は、韓国での新政権の誕生が、現在の関係の行き詰まりを打開する絶好の機会となることにある期待を表明している。彼らは、アメリカの用心深い後押しを受けて最近ハワイで行われた日韓外相会談に象徴されるような小さな進展を挙げている。

しかし、アメリカ高官らの個人的な思惑としては、歴史問題の取り扱いに対する韓国側の執拗な態度のみならず、関係を悪化させる一方の日本側の対応ぶりに苛立ちを見せている。

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