5歳児と防災学び見えた「子連れ避難」で必要な物 子ども用の「非常持ち出し袋」に入れる物は?

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「まずは、ご自身の住む家や地域の災害時リスクを確かめてください」こう話すのは、防災士で一児の母でもある奥村奈津美さんだ。奥村さんは、仙台のアナウンサーとして東日本大震災を経験し、以来全国の被災地取材やボランティア活動を行っている。

奥村 奈津美(おくむら・なつみ)/1982年東京都生まれ。広島、仙台で地方局アナウンサーとして活動し、東京でフリーアナウンサーに。NHK「ニュースウォッチ9」や「NHKジャーナル」など報道番組を長年担当。東日本大震災を仙台のアナウンサーとして経験し、以来全国の被災地取材やボランティアに注力している。防災士、福祉防災認定コーチ、防災教育推進協会講師、防災住宅研究所理事など防災啓発活動に携わる(奥村奈津美さん提供)

「1981年6月より前に建てられた旧耐震基準の家の場合、大地震では倒壊の恐れがあり家の中は危険です。

ただ、熊本地震では、1981年6月以降の新耐震基準で建てられた木造住宅も7割近くが損壊しており、2000年6月以降の基準で作られた木造住宅も6%は大破以上、つまり住める状態ではなくなりました」(奥村さん)

そのほかにも、木造住宅が密集する地域の場合、延焼火災の危険がある。奥村さんは、「住宅の造りだけでなく、津波や土砂災害、延焼火災といった地域のリスクを加味して、避難すべきか判断してください」と話した。

避難のときに持っていくべきもの

土砂災害や津波のリスクは、自治体が配布するハザードマップで確認できる。国土交通省のハザードマップポータルサイトなら、住んでいる地域を入力するだけで、自治体のハザードマップのほか、洪水や土砂災害、高潮、津波のリスクや、地形分類まで確認できる。

また、東京都の地域危険度測定調査なら、住んでいる町を選択すれば、建物の倒壊危険度や火災危険度、災害時の避難・消火・救助活動の困難度まで調べることができる。

わが家は鉄筋コンクリート造だが、地域の消火困難度が高い。地震後、もし近所で火災が起きた場合は避難したほうがよさそうだ。避難の際には、何を持って行くべきなのだろうか。とくに乳幼児がいる場合、ミルクやおむつなどで荷物が多くなるが、どこまで厳選すればよいのだろうか。

「子どもを抱っこして走れる重さとなると、荷物は限られます。おむつやお尻拭き、(ミルク育児や混合育児の場合)ミルクは、最低でも一晩過ごせる量を持ち出しましょう。おすすめなのは、普段のお出かけで使うバッグをつねに補充しておき、いつでも持ち出せるよう玄関に置いておくことです」(奥村さん)

子どもと出かける際に持ち歩くバッグには、おむつやミルク、手口拭きや着替え、おやつなど、子どもが半日過ごすためのものが揃っている。帰宅後、使った分を補充して玄関に置いておくだけで非常持ち出し袋になるという。自分で歩いて避難できる子どもには、はぐれてしまったときのために、子ども用非常持ち出し袋を作っておくとよい。

「家族写真の裏に、名前や生年月日、家族の連絡先や、避難所を書いたSOSカードを作っておきましょう。避難時に親とはぐれても、周りの大人が避難所に連れて行ってくれるかもしれません。あとは、自分で開けられる容器に入ったおやつや飲み物を入れておきましょう」

SOSカードやおやつ、飲み物は、普段ひとまとめにしておき、避難時に子どものリュックに入れればよい。さらに、子どもと一緒にSOSカードを作れば、子どもの防災意識を高めることにもつながる。

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