増税直後の選挙、与党は必ず敗れる?

1989年、1998年に自民党は惨敗

さて安倍首相が解散に踏み切るのは、消費税増税を先延ばしするためだ。あえて景気条項を使わないのは、「アベノミクスは失敗した」との批判を避けるためでもある。さらにこの時期に解散総選挙しないと、獲得する議席数が激減するかもしれないという危惧もある。

だがいま解散して本当に勝ち目はあるのか。これまでの消費税の導入時および税率アップ時を見ると、与党が苦戦する歴史しか出てこない。

与党が負けるジンクス

1998年7月の参院選で敗れ、辞任に追いこまれた橋本龍太郎首相(写真:ロイター/アフロ))

日本で消費税が導入されたのは、竹下内閣時の1989年4月だった。その3か月後に参院選が行われたが、マドンナ旋風で土井たか子氏が率いる社会党が45議席と躍進したのに対し、自民党が獲得したのは33議席減の36議席で、大惨敗という結果だった。

この時は消費税の他、リクルート問題や宇野宗佑首相の女性スキャンダルも災いした。参院選の直前に行われた東京都議選でも、自民党は20議席を失っている。

橋本龍太郎政権はその高支持率を頼みとして、1997年4月に消費税を3%から5%に上昇させた。しかし同年に勃発したアジア危機や住専問題などの不良債権問題で経済が思わしくない上、所得減税打ち切り2兆円分と医療費自己負担増2兆円分が国民に重くのしかかった。翌1998年の参院選では、自民党は65議席から44議席と21議席も減らしている。思惑が外れて選対本部で不機嫌そうにタバコをふかす橋本氏の顔が、テレビ画面に大写しされた。その18日後、橋本氏は責任をとって退陣した。

このように増税は政権の命を縮めてしまう。それを一番知っていたのは小泉純一郎氏だろう。小泉氏も橋本氏と同様に高支持率を誇ったため、それを背景に消費税率をアップするように圧力を受けていた。だが「私の任期中は上げない」と頑としてそれに応じなかったのである。

そのおかげで小泉氏は5年5カ月もの長期政権を謳歌し、日本の政治史に名を留めることになった。安倍首相も長期政権を目指し、それゆえ賭けに出たのだろう。幸いにして、野党も、いまのところ、自民党の敵としては弱すぎる。ただそれが吉と出るか凶と出るか。1カ月後には情勢ががらりと変わる可能性も否定できない。

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