物価高でピンチ?「100均」は今のままいられるか 別業種からのラブコールの裏に見える危機

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さらに、セルフレジ化も進んでいる。セリアやダイソーで導入しているのは商品のバーコードを買い物客自身が読み取るセルフスキャン方式だ。ダイソーが導入しているレジは、支払い手段として現金・キャッシュレスのいずれも選べる。コロナ禍の非接触ニーズにいち早く対応したともいえるが、セルフスキャン式には落とし穴もある。それは、スピードだ。

筆者が体験した店舗では、有人レジに比べセルフスキャンレジのほうが明らかに列が長かった。それは当然だろう。一般客が商品のバーコードをスキャンするのと、レジになれた店員がスキャンするのでは、読み取りにかかるスピードが違う。バーコードがどこにあるのか、なかなか見つからなくて戸惑うことも多い。

コンビニでも増えてきたセルフスキャンレジだが、2、3品しか買わないコンビニならまだしも、100円ショップでこまごました商品をカゴ一杯に買う時には難儀する。セルフスキャンなら、品数を少なくしようと考えてしまうほどだ。それでもレジ人員を減らすことのほうが、長い目で見ればコスト面で釣り合うのだろう。

現在のところ、すべての店舗がキャッシュレス決済に対応しているわけではないが、この方向からの逆戻りは多分ない。売値を細かく変えられない均一価格商売で、キャッシュレス決済手数料の負担に見合うだけの儲けを出そうとすれば、やはり100円ポッキリ商品の割合はじわじわ減っていくのではないだろうか。

コロナ下需要に対応したアイデア商品も

200円以上の他価格帯がこの先増えていくとして、では今100均で買っていいものとはなんだろう。

筆者はこれまで「季節イベントもの・お試しもの・割高でも少量でいいもの」と答えてきた。たとえば、季節イベントかつ、お試しものの代表が、近年100円ショップが力を入れているアウトドア・キャンプグッズだろう。

100円の商品だけでなく、500~1000円で折り畳み式チェアやテーブル、簡易テントにバーベキューグリルなどの大物が買える。アウトドアつながりで人気のフィッシングギアも豊富で、特にダイソーで販売していたリール単体500円~、ルアーロッド1000円、振出し竿700円~は、発売当初はすぐに売り切れるほどだった。

「やってみたい」というエントリーに、それらが割安で買える100円ショップはぴったりだ。飽きれば抵抗なく処分できる金額ですむし、本気になれば専門店に足を運べばいい。

また、時流をとらえるのがうまい100円ショップならではアイテムもある。インスタやYouTubeの動画撮影に役立ちそうな便利グッズだ。スマホを首にかけた状態で手元の撮影ができるホルダー(220円)は、料理や作業のライブ配信に便利だろう。また、スマホホルダーとリング型のLEDライトのセット(550円)は、自撮りやリモート通話に欠かせない。

(写真:筆者提供)

商品レビューに使えるミニフォトスタジオもLEDライト付きで550円とは、ありがたい価格だ。コロナ禍でおうち時間が増えた中、気軽に動画やレビューをアップしたいが、何をどうそろえれば……という要望に応えるグッズがすぐに揃うのはさすがというところ。ただし、ご覧の通り100円では買えないが。

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