人間の戦争は動物を愛する人間に動物を殺させた あの時ヒョウは何も警戒せずキョトンとしていた

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戦争が激化する中で、空襲を受けたときに動物たちが逃げ出す危険性が指摘され、猛獣たちを殺処分する命令が出された。そして、ゾウやライオン、クマ、ワニなど多くの動物たちが、次々に殺されていったのである。

野生の動物ではない。飼い慣らされ、親しまれてきた動物たちである。

しかし、猛獣は猛獣である。人間の命を守るためには、彼らを殺さなければならない。

命に順番はない。

しかし、上野動物園では、殺しやすいという理由で最初にクマが銃殺された。

もっとも、銃殺されたクマは、まだ幸せだったのかもしれない。

その後、戦争に必要な弾丸を動物に使うことは望ましくないとされて、もっと悲惨なさまざまな方法で動物たちは殺されていったのである。

あるものは、毒薬を飲まされ、もがきながら、苦しみながら死んでいった。

しかし、動物の中には、毒の入ったエサを食べようとしないものも多かった。また、致死量もわからないので、毒に苦しみながらも生きながらえる動物もいた。

餓死させられたゾウたち

それらの動物の処理方法が絞殺(こうさつ)である。

生きながらえたホッキョクグマやクロヒョウなどの動物たちは、首にロープをかけられ、大勢の大人たちにロープを絞められた。

こうして、たくさんの動物たちが死んでいった。

なかなか殺すことのできなかったゾウのワンリー(花子)とトンキーは餓死(がし)させられることになった。ワンリーとトンキーは、飼育員の姿を見ると、衰弱した体を寄せ合って立ち上がり、芸を始めた。

土家由岐雄の「かわいそうなぞう」は書く。

しなびきった、からだぢゅうの力をふりしぼって、よろけながらいっしょうけんめいです。
げいとうをすれば、もとのように、えさがもらえると思ったのでしょう。
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