夫が統合失調症、息子のために別れるべきか 夫の病気が与える悪影響が心配

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この世には、いろいろな形の差別があります。中には日本特有の差別も存在します。たとえば出自による差別。少し勉強すれば意味のない差別であることがわかることです。ほかにもヘイトスピーチなどで取りざたされる民族差別では、歴史的な背景への無理解やデマがネットで急速に蔓延していますが、根底には「弱者を必要とする人間の弱さ」、「真実より耳に優しいことを信じる人間の弱さ」及び「自己正当化への飽くなき欲求」と「偏った情報源の受け売り」があり、まったくのナンセンスです。

最初は同調圧力に屈するだけでも、しだいに差別を率先することで精神優位を味わい、承認欲求を満たすための「ヘイト・スパイラル」に陥っている人が多いのは残念です。誰でも外国に行けば少数外国人になることを忘れず、少数者の立場に思いを馳せたいものです。

障害者差別に関しては、多くの人は遅かれ早かれ、老衰や病気で障害を持って生きる運命にありますし、貧富の差による差別では、貧富と人格の良し悪しが関係ないことは説明するまでもありません。

特定の病に対する差別では、たとえば水俣病患者は、その原因を特定する技術もない時代では奇病と恐れられ、胎内感染で生まれてくる子もいたので、家族中で差別を受けました。その風評被害は、水俣在住と言うのがはばかれるほど、今も続いているのだそうです。

どれもこれも、差別は偏見を植え付ける為政者や、その政治的意図からくる嘘を見抜けない無知な人の恐れから生まれ、無関心な人に助長されてきました。この人たちが持つ言葉は少なく、再び会おうという気が起こらない人たちばかりです。

私自身も社会的弱者として生きてきた

このように申し上げますと決まって、私がきれい事を話しているとか理想論だと反論してくださる人がいますが、何を隠そう私も、戦後の日本で韓国人の女性として生まれるなど、「社会的弱者としての資格」を3つも4つも持ってこの国で生まれ、生きてきました。

そんな経験から申し上げるのですが、差別は無知から生まれ、無関心者もそれを助長する側に立つということです。私の場合は「弱者としての資格」はないが多くを学んだ友人や、彼らから紹介された本などの導きで、弱者の資格は返上できなくとも、それに負けない生き方を選択することができました。

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