日本コロムビアを買収したフェイスの「素顔」 元気のない日本の音楽産業をどう変えるか?
平澤社長は「初音ミク」(デスクトップミュージック用の音声合成ソフト)を例に挙げ、「まず無料で認知度を上げてからマネタイズ(収益化)するのが有効」と考える。それ以外にもCDパッケージ、ダウンロード、ストリーミングなどが混沌と入り乱れて変化し、「10年、20年の間に、どんどん革命が起きていく」と予見する。
世界最大の音楽市場である米国では、急速にCD販売が減る一方、iTunesのようなダウンロード配信が右肩上がりで伸びてきた。しかし、それも2013年をピークに頭打ちになり、代わりにSpotifyのようなストリーミングが急激に伸びている。
アプリの累計ダウンロード数は30万超
この傾向はいずれ日本にも及ぶと見て、フェイスは2013年1月から、スマホ向けストリーミング型の音楽配信サービス「FaRao(ファラオ)」を、国内初の無料提供で開始した(1曲最大90秒で広告が入る)。有料会員(月額350円)は広告なしで、最新ヒット曲を含む、契約楽曲約100万曲をすべて聴取できる仕組み。このアプリの累計ダウンロード数は30万を超えた。
聴いた曲に「Good」「Bad」の評価を付けると、自動的に自分の嗜好に合った音楽を再生するようになる、「レコメンド機能」も特徴だ。過去のオリコン順位などの楽曲データベース、再生ログから、類似の嗜好性を持つユーザーを見つけ出すユーザーデータベースに加え、調査員の手作業で数百種類のアーティスト属性を入力している総合性がウリである。
人間の”アナログ”な行動パターン、すなわち「聴きたい曲を買うまでの動機の流れは今後も大きく変わらない」、と言う平澤社長の口から出たキーワードは「街鳴り」。カフェやコンビニ、レストランに入った時に偶然に耳に入ってきた曲が、ぐるぐると頭の中を巡って忘れられなくなる経験は誰にでもあるだろう。ラジオやテレビで曲名を知ると、FMラジオ番組からエアチェック(録音)したり、CDショップに行って、CDを買ったりした。そうしたユーザーの経験値をいかに掘り起こしていくかだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら