シンガポール人に聞いた「日本人の美点と弱点」 仕事をして不愉快な思いは一度もなかった

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――あえて日本人の悪いところを挙げるとすれば。

ビジネスに関しては、もっと自分の意見を主張し、アグレッシブにやってもいいのかなと思います。シンガポールにいる駐在員を見ても、韓国人・中国人の駐在員のほうがはるかにアグレッシブですね。韓国人・中国人はガツガツしすぎてちょっとウザイですが(笑)。

――日本の女性についてお聞きします。日本の女性の印象を教えてください。

商社時代の駐在員は男性ばかりだったので、日本の女性はそんなに知りません。1990年代に初めて日本に行ったとき、日本の女性はギャルファッションでもっとド派手かと思っていたら、実際はファッションは地味だし、もの静かで控えめで、逆に驚きました。

――「日本の女性の7割が夫に養ってもらうことを望んでいる」という調査結果があります。

へえ、そうなんですか。シンガポールとは大違いです。結婚した男性がそんなに優秀とは限らないし、離婚してしまうこともある。結婚する男性を信じて人生を委ねるというのは、ずいぶんリスキーじゃないですか。

――シンガポールでは、大昔から女性活躍が進んでいます。女性活躍のポイントは?

たしかに、諸外国と比べると進んでいますが、女性の生涯未婚率が上昇し、結婚しても子どもを産まなくなっており、完全にうまくいっているとは思いません。シンガポールでも、女性に出産・育児の負担がのしかかっています。

――と言いつつ、ユーニスさんは4人のお子さんを産み、育てていますが。

夫も私も高収入で、2人の家政婦を雇うことができたので、何とかなりました。ただ、HDB(公団住宅)に住んでいる若い夫婦だと、子どもを1人持つのが精一杯だと思います。

日本もシンガポールも同じアジアの島国

シンガポールの話になると、日本人はよく「シンガポールのような新興国(1965年建国)、しかもあんなちっぽけな都市国家と日本のような伝統ある大国では比較にならない」と言います。もちろん、比較にならない点も多いでしょうが、資源を持たないアジアの島国ということなど、共通点もまた多いはずです。

ユーニスさんは、「私の話が、大好きな日本の皆さんの参考になったら嬉しいです」と言ってインタビューを締めくくりました。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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