シンガポール人に聞いた「日本人の美点と弱点」 仕事をして不愉快な思いは一度もなかった

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つづいて、経済や企業経営について聞きました。筆者がシンガポールに住んでいた2000年は、1人当たりGDPで日本のほうが上でした(日本39173ドル、シンガポール23853ドル、IMF統計)。しかしその後シンガポールが逆転し、どんどん差が開いています(2020年日本40089ドル、シンガポール59795ドル)。

――シンガポールが成功した理由を聞かせてください。

その前に、ジム・ロジャーズ氏(世界有数の投資家で2007年にシンガポール移住)に代表されるように、近年、アメリカや中国の大富豪がシンガポールに移住し、各種の経済指標を押し上げています。庶民のレベルでは、そんなに大成功したという印象はありません。

――なるほど。とはいえ、富裕層を対象にした金融ビジネス以外も、かなり順調だと思いますが。

ええ。日沖さんがいた頃までのシンガポールは、政府が色んな産業を強力に主導していました。しかし、近年は、政府による直接の関与は小さくなっています。規制緩和によって外資を呼び込んだことや地場企業が起業しやすくなったことが、大きかったと思います。

――民間主導の成長というわけですね。

はい、そう認識しています。私は販路開拓のためにアジアの主要都市を訪問していますが、ビジネスのやりやすさでは断然シンガポールが一番です。(ライバルだった)香港がこけちゃったせいもありますが。

シンガポールも「少子化」は大きな問題点

――シンガポールの問題点は?

やはり少子化です(合計特殊出生率は2019年現在1.14)。私は子どもを4人産んで、国の少子化対策にかなり貢献していますけどね(笑)。外国人労働者や移民で労働力不足を補っていますが、彼らとシンガポール国民の軋轢を不安視する声が高まっています。

――日本は成長が止まっています。日本経済についてどういう印象を持っていますか。

日本には人材も技術も資金もあるのに成長していないのは、本当に残念です。日本企業を見ていると、事業のやり方など、私が日本の商社に勤務していた十数年前とほとんど変わっていません。世界の変化に合わせて政府や企業が変わっていないということでしょう。

ユーニスさんとの話は、日本や日本人・日本の女性に及びました。以下は、ユーニスさんが大の親日家であることを割り引いてお読みください。

――シンガポール人は日本に対して、どういう印象を持っていますか。

日本の占領時代を経験した世代が少なくなり、大半のシンガポール人は、日本に対し好意的です。とくに、漫画・グルメなど日本の文化には強く憧れています。私の周りにも、蕎麦を食べるためにわざわざ日本に行くような日本マニアがたくさんいます。

――ユーニスさんは日本人の知り合いが多いですが、日本人についてはどういう印象を持っていますか。

日本人は礼儀正しく、常識をわきまえています。親切だし、適度なユーモアもあります。日本人と一緒に仕事をして不愉快な思いをしたことは、記憶にありません。

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