人生100年時代、介護は「25年」もの超長期戦になる 親子共倒れを防ぐために重要なことは一体何か

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太田:子どもだって、100歳まで生きるんです。その老後資金の250万円が、親のための交通費に飛んでしまうんですよ。子どもが老後破綻になることだってなくはないです。

安藤:まさに、親子共倒れ……。

太田:介護は「就職」「結婚」「出産」と同じライフステージのひとつと考えて、親には、お金も気持ちも自立してもらって子どもはドライに割り切ることが大切なんです。

安藤:ライフステージのひとつ。考えたこともなかった。でもやっぱり親のことを見捨てるなんてできない……。

太田:そこで、上手に活用したいのが「介護保険サービス」や「自治体が独自に行うサービス」です。美味しいご飯が食べたいならレストランに行くように、プロのヘルパーさんや、地域のボランティアサービスをどしどし利用しましょう。親の介護をきっちりサポートしてくれます。

安藤:なるほど! 親の介護は、親のお金でプロのサービスを使い倒すってことですね。プロに任すことで、子どもは自分の時間を確保することができますね。

はじめにやるべきは「介護体制作り」

安藤:親の介護って、やっぱり子どもが全面的にやらなければいけないって思ってしまうのですが。離れて暮らしていると難しいような。

太田:親に介護が必要になったら、介護の体制作りをまず考えます。介護を「ひとつのプロジェクト」と考え、サポートできる人たちをそのメンバーと考えます。

安藤:「ひとつのプロジェクト」ですね。 みんなが親の介護というプロジェクトのために一致団結するってことですね!

太田:参加するメンバーには、まずは、介護の中心を担う「主たる介護者」がいます。通常、両親がそろっていれば、元気なほうの親が担当し、主な役割としては、身体的なケアや精神的なケアを担います。

安藤:元気なほうの親か……。でも介護する親も高齢だとなかなか大変ですよね。

太田:もちろん、すべてを1人ではやりきれません。できない部分を子どもがサポートしたり、プロの手を借りたりなど、みんなで役割を分担していくのです。この人たちもプロジェクトのメンバーなのです。主たる介護者の役割として、もう1つ「キーパーソン」と呼ばれる役割があります。

安藤:「キーパーソン」って何ですか? なんだか重要そうな響き……。

太田:キーパーソンの主な役割は、外部との「調整・交渉・手続き」の窓口となり、家族間の意見のとりまとめをする人です。たとえば、介護サービスを利用する場合、申し込みや契約などの手続きが必要になります。またサポートする家族が複数いる場合も、外部との窓口は1つにしておかないと混乱するだけ。こういった役割は、必ずしも身近に暮らしている人がベストとは限りません。離れて暮らしている子どもでもできる役割なのです。

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