日本は最重要市場の一つ、新薬開発で積極的に投資--米メルク エグゼクティブ・バイスプレジデント アダム・シェクター

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日本は最重要市場の一つ、新薬開発で積極的に投資--米メルク エグゼクティブ・バイスプレジデント アダム・シェクター

1990年代まで、製薬業界で世界屈指の規模を誇っていた米メルク。自社開発の伝統を堅持し、新しい作用メカニズムに基づく画期的な新薬を次々と開発してきた名門企業だ。しかし、2000年代に入ってからは、競合他社が相次いで大型合併に踏み切る中で、業界での順位が低下。副作用問題による鎮痛薬の販売中止、訴訟続発など苦難も味わってきた。

そのメルクは、昨年11月の米シェリング・プラウとの経営統合により、医療用医薬品分野の売上高でファイザーに次ぐ世界第2位に再浮上。統合により製品ラインナップの多様化も実現した。世界規模での人員削減(総人員の15%)や工場、研究所の統廃合を進める一方、日本を重要市場の一つと位置づけ、新薬開発を急いでいる。

新会社の舵取りや、日本市場における戦略について、グローバル医薬品部門統括責任者のアダム・シェクター氏に聞いた。

--ほかの製薬企業と同様に、米メルクも主力製品の特許切れ問題に直面しています。今年の高血圧症治療薬コザールに続き、12年後半には最大の売上高を誇るぜんそく治療薬シングレアが米国で特許切れを迎えます。また、米ジョンソン・エンド・ジョンソンとは、関節リウマチ治療薬の販売関係見直しをめぐり、係争状態にある。こうしたことから、厳しい状況に立たされているとみられています。

当社を含む製薬産業が大きな課題を抱えていることは確かだが、研究開発型産業として、イノベーションを通じて大きなチャンスがある。

特許切れについては以前からわかっていたことであり、十分な備えをしてきた。経営統合を通じて、特許切れによる売り上げの落ち込みを十分にカバーできるだけの開発パイプライン(新薬候補群)を擁することになった。米国本社の開発後期(フェーズ�)パイプラインには、約20もの候補品が連なっており、それらは製薬企業の中で最も充実していると自負している。

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