菅政権の成長戦略はまったく戦略がない--リチャード・カッツ


 企業や労働市場を変えることなく、創造的破壊を起こすことなく、単に資金を使うだけでは成長率を高めることはできない。日本の問題は、制度が硬直的であるため破壊が破滅的なものになってしまうことである。職を失った中堅ビジネスパーソンが同等の待遇の別の職を得ることは難しい。そのため、日本の労働者は現在の会社で現在の仕事を守ろうとする傾向が強い。

これとは対照的に、本誌の08年1月の特集記事で記されているように、スウェーデンでは労働者が新しい仕事を得るための支援を受けている。同国の制度では、成長によって社会的セーフティネットのための資金を確保する一方、優れたセーフティネットによって人々は創造的破壊に耐え、歓迎さえしている。

日本はセーフティネットなく創造的破壊をしようとした“小泉主義者”と、創造的破壊なしで旧態依然たるセーフティネットを維持しようとする“菅主義者”の間で身動きが取れなくなっている。

(リチャード・カッツ =週刊東洋経済2010年10月30日号 撮影:今井康一)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

RichardKatz
『The Oriental Economist Report』編集長。ニューヨーク・タイムズ紙、フィナンシャル・タイムズ紙などにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

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