「再出発」の覚悟で新事業に取り組む--日清紡ホールディングス社長・鵜澤靜


 もちろん、手掛けた事業すべてを自社で完成させる必要はない。従来も、炭素繊維の航空機向け供給には巨額資金を要するため東邦レーヨンは帝人へ譲渡し、ブレーキ関連でも次世代製品の開発に巨額を要するABS分野はドイツのコンティネンタル側主導の合弁へ移管している。ただ、太陽電池製造装置はじめ資源・エネルギー関連の新事業では、グループ内で相乗効果を生み出せる部分も大きいと考えている。

かつて日清紡では新事業の育成により繊維事業からの人材を受け入れてきた。だが、今年発表した繊維事業の再構築のように、希望退職者募集も必要となってきている。かねて経営陣が必死に新事業育成へ取り組んできたことを知っているからこそ、ついに納得し希望退職に応募された側面もあると思う。日清紡にとって、新事業育成はそれほどまでに必死で取り組まねばならない課題。従来の日清紡のあり方すべてを否定はしないが、「再出発」するんだという気持ちで新事業へ取り組んでいる。

(週刊東洋経済2010年10月30日号 撮影:尾形文繁)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

うざわ・しずか
1946年生まれ。69年一橋大学商学部卒業、日清紡績入社。2001年取締役経理本部長、常務、専務、紙製品子会社社長兼務を経て09年6月現職に。

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