日本の税制の課題は税収調達力と所得再分配機能の回復だ--峰崎直樹・内閣官房参与
政府や民主党の税制に関する議論が加速している。政府税制調査会の議論が再開するとともに、民主党も党内に設けた税制改正プロジェクトチーム(中野寛成座長)で個人所得課税や法人税のほか、地球温暖化対策税を新しく導入するに当たっての議論などが精力的に進められている。前財務副大臣の峰崎直樹・内閣官房参与に今後の税制のあり方について、話を聞いた。
--民主党の税と社会保障の抜本改革調査会の会長を務める藤井裕久・元財務大臣が「民主党の背骨、原点に戻る税制・社会保障改革をまとめていく」と発言しています。
藤井・元財務大臣は、将来的に社会保障の増加分は消費税の増税で充当するという、使い方を限定して目的税にしたいという話を中心にされている。これは、今から3年ほど前に、民主党税制調査会をつくった時の考え方を披瀝された、ということだろう。
年金や医療、介護など、社会保障に資する財源をどう調達するか、というときに消費税を含めて考えなければいけない、ということだが、問題は、少子高齢化やグローバル化の中で、皆保険、皆年金の仕組みがほころびてきている。特に雇用は不安定になってきている。それを何とかしなければいけないということを軸にしながら、今後の社会保障と税のあり方について考えていく必要があるのではないか。この点では私も同じような考え方であり、これから議論していこうと思っている。
--社会保障の給付水準を現状維持のまま推移させるのでしょうか?
いや、将来像をきちんと示そうということだ。今のサービス水準だと不十分だという認識だ。小泉・竹中改革と言われてきたものによって、社会保障の水準そのものがかなりズタズタに切り裂かれ、格差を拡大させてきた。もう一度、国民皆年金、国民皆保険という日本の良き制度をどのように立て直すのかが今の課題だ。それをはっきりさせないといけない。
消費税をいくらにするとか、他の財源でどのように手当てをするのか、あるいは、社会保険料がまだ負担する余地があるのか、そういう議論がこれから必要になってくる。
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