高品質だけを強調して売れる時代は終わった--ハリス・ダイアモンド ウェーバー・シャンドウィックCEO
原油の流出も同じ。あきらかに誰が聞いても環境破壊だと想定されているのに、BPは初期に出した声明で大きな問題ではないとしてしまった。一般市民がニュースを見て、市民がどう反応するのかというところを過小評価していたという共通項がある。そうした対応をしたために、「じゃあ、是正するために企業として何をするの?」と必要以上に市民の目が向けられるようになる。
商品がリコールされた時、モノに欠陥があるからリコールがかかったと勘違いされるが、もっと重視しなければならないのは、そのブランドに対する反応。消費者は商品の不備に対してはセカンドチャンスを与えようと寛大だが、ブランドに対しては寛大ではない。なぜならブランドはお客さんとの約束だから。(著名な投資家である)ウォーレン・バフェットも「失敗しておカネを損するのはいい。また稼げばいいのだから。ただ何か失敗をして評判が失墜した場合は修復できない」と言っている。
ブランドの成功には努力と時間が不可欠
--米国のアップルなどはブランド戦略が非常にうまいですね。
アップルはブランド構築に巨額のカネを費やしている。それ以外にもブランドを肌で体験できる空間を用意している。たとえばアップルストアがそう。消費者がアップルとは何なのか、触って実体験できる。あとはライフスタイルのイメージを作り出していったことが共感を呼んだ。
ブランドの構築における問題は、たくさんあるブランドの中から、どうやって自分のブランドを浮き上がらせるかという点にある。そのためには時間と努力を惜しまないということが大事だ。
それともう一つ。多くの企業はブランドは偶発的に誕生するものだと思っているが違う。ブランド構築に成功しているところは、手間ひまを惜しまず努力を続けている。たとえば、社員の着る制服を統一したり、用紙一枚でも統一感を出したり、理にかなったエコシステムの中で活動していて、それが実証できるものになっている。
--日本企業はそういった努力がまだまだ足りない、と。
あまり悲観する必要はない。ブランドは消費者との約束ごと。これを必ず満たしますという約束の一つなのだから、次に考えないといけないのは、(ブランド向上のために)今のままでいいのか、もっと何かすべきなのかという自問自答をしていくことだ。